出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2017/9/ 1

宝塚の男役トップスター北翔海莉が挑む! ブロードウェイの名作『パジャマゲーム』

リチャード・ラッセルが書いた小説「7 1/2 Cents(7セント半)」をベースとしたミュージカル『パジャマゲーム』。1954年にブロードウェイで初演されると大ヒットし、その年のトニー賞最優秀作品賞や振付賞などを受賞し、1000回を超えるロングランを記録しました。後に世界的に有名な振付家となったボブ・フォッシーが初めて振付を担当した記念すべき作品でもあります。

その後、1957年にジョン・レイドとドリス・デイ主演で製作された映画版が、ミュージカル映画黄金期時代の傑作として評価されていることもあり、ブロードウェイやウエストエンドでも度々再演される作品となりました。

そんな名作中の名作の日本版に、2016年11月に宝塚歌劇団を退団した北翔海莉が、長年つとめた男役から、女優として挑むことになりました。

今回の演出を担当するのは、イギリスで最も評価の高い若手演出家の一人、トム・サザーランド。演出を担当した『タイタニック』や『グランドホテル』の再演は日本でも上演され、高い評価を受けています。オリジナル作品の良さを生かしつつも、革新的な演出がなされるに違いありません。

パジャマ工場での「7セント半」の賃上げと恋をめぐるコメディミュージカル

1954年のアメリカのパジャマ工場。労働者たちは日々明るく忙しく働いていました。他社が続々と給料アップを果たす風潮を受けて、工場の労働組合でも時給7セント半の賃金アップを求めていました。しかし、社長のハスラーは全く聞く耳を持ちません。そこで、苦情処理係のベイブを中心に、組合はストライキを計画することに。驚いたハスラーは、新任の工場主任シドに、この状況の解決を命じます。

シドは若く魅力的な男性で、同僚の女性たちはすっかりシドに夢中。ある日、従業員間でトラブルが発生し、収拾のため駆けつけるシド。そこで相対する立場のベイブとシドが運命的に出会います。一目見た瞬間から惹かれあう2人ですが、ベイブは自分の立場を優先するあまり、彼の誘いにつれない素振りをしてしまうのでした。

初めはシドに対してそっぽを向いていたベイブですが、ある出来事をきっかけに急接近します。対立する立場の2人が惹かれ合うことで、何やら事態はおかしなことに......。あの手この手で賃上げを図るベイブたちは、果たして賃上げに成功するのでしょうか。そしてベイブとシド、2人の恋の行方は......?

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]宝塚屈指の実力派トップの北翔海莉、退団後の初舞台
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