映画「フレンチ・ラン」/CIA捜査官とスリの即席コンビ 痛快バディ・アクション
(C)2016 Studiocanal S.A. TF1 Films Production S.A.S.All Rights Reserved
仏パリで起きた爆弾テロ事件を、一匹狼の米中央情報局(CIA)捜査官と若き天才スリがコンビを組んで解決する"バディ・ムービー"「フレンチ・ラン」。
革命記念日前夜のパリ。天才スリのマイケル(リチャード・マッデン)は、広場の雑踏に全裸の美女を歩かせ、人々が気を取られたすきに財布をかすめ取っていた。同じころ、テロ組織が実行犯の女ゾーエ(シャルロット・ルボン)を使い、ビル爆破を企てる。しかし、女は未遂のまま現場を去る途中、マイケルに爆弾入りのバッグを盗まれる。マイケルは広場にバッグを置き捨て、その後爆発が発生。防犯カメラにはバッグを手にしたマイケルの姿が映っていた──。
疾走感と謎解きのバランスがいい
ジェームズ・ワトキンス監督が目指したのは「1970年代アクション映画」という。クリント・イーストウッド主演「ダーティハリー」(71)、ジーン・ハックマン主演「フレンチ・コネクション」(71)など名作刑事アクションが多い時代だ。一匹狼的な刑事が単独で事件に挑み、生身のアクションで解決する。今回のCIA捜査官ブライヤー(イドリス・エルバ)も同じく、猪突猛進で犯人を追う。アパートの屋根を走り、廊下で犯人と接近戦。肉弾捜査スタイルが印象的だ。
ポイントはそんなCIA捜査官とスリが即席でコンビを組み、犯罪組織を追い詰めていく点だろう。堅物のブライヤーに調子のいいマイケル。そこへ容疑者として確保した女ゾーエが加わる。テロ組織の「革命記念日にパリを制圧する」目論見を阻止するため、捜査のプロと素人2人が街を走る。
爆弾テロで始まった物語は、大勢のパリ市民を巻き込み、大掛かりなクライマックスを迎える。一人テロと戦うストイックなブライヤーは、仏映画「レオン」(94)のジャン・レノ演じる主人公を思い出す。テロ犯の正体、目的にはやや荒っぽさを感じるが、疾走感と謎解きのバランスがいい。ひとひねり加えたオチまで92分間、痛快なバディ・アクションが楽しめる。
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「フレンチ・ラン」(2016年、英・仏・米)
監督:ジェームズ・ワトキンス
出演:イドリス・エルバ、リチャード・マッデン、シャルロット・ルボン、ケリー・ライリー、ジョゼ・ガルシア
2017年3月4日(土)、渋谷シネパレスほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。