近所のカルディーで店内で提供されるコーヒーがアイスからホットに代わっていた。ああ、季節も変わったんだなと実感した、2016年ももう残り3か月になったけれど、まだまだ出てくる芸能人の下半身事情報道。さすがに食傷気味かと思うけど、結局、視聴者や読者の食いつきがよくって、しばらくはワイワイと報道を楽しんでいる感じだ。
「芸能界は兄弟姉妹だらけなんだから、咎める人なんていなかった」
「昔はそんな話を表ざたにするようなことはなかったのにねえ」
業界歴が長い女性プロデューサーがため息をつきながら、ある日そう言った。話題になった渦中の人物とも当然接点を持っているようなキャリアの持ち主の女性だ。女史は今の芸能界のスキャンダルはスケールが小さくてつまらないという。世間をにぎわしているスキャンダルは、数十年前ではスキャンダラスなことではなく、当たり前として受け止められていたそうだ。
「だってさあ、そんなこと言いだしたら、芸能界は兄弟姉妹だらけなんだから、咎める人なんていなかったし。それに、自分が売れるためにはみんな平気で身体を差し出していたし、それが普通だと思っていた節あったもんねえ。あの人と? みたいな感じで男も女も勲章にしていたのに」
そう言われてしまうと、なんとも豪快な時代だ。今は芸能人の発言が炎上するするように、視聴者が芸能界にコミットしている。よく考えれば、ショービズに浮いた話が出ない方が恐ろしい。
「そんなお行儀がいいショービズなんてつまらないに決まっている。もっとスキャンダラスらしいスキャンダルが出てくれば面白いのに、とは言えないけれど・・・。最近ちょっと弱くなってきちゃったの。年かしら」
女史は弁解しながら、何杯目かのワインを飲みほしていた。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。