2016/8/ 5

映画「DOPE ドープ!!」/オタクならではの知恵と行動力でドラッグをさばく様子が痛快

(C)2015 That's Dope, LLC. All Rights Reserved.

米ロサンゼルス。スラム街を疾走する高校生のマルコム(ジャメイク・ムーア)は、1990年代ヒップホップをこよなく愛するオタクである。しかし、あるパーティーで知らぬ間に違法ドラッグを手にしてしまい、思わぬ騒動がぼっ発する──。

監督、脚本、製作総指揮は「ソウルメイト」のリック・ファムイーワ。製作総指揮、ナレーションはフォレスト・ウィテカー、音楽は「怪盗グルーのミニオン危機一発」(13)の楽曲で米アカデミー賞候補になったファレル・ウィリアムスだ。

ハーバード大学進学を夢見るオタク

軽快なヒップホップとウィテカーのナレーションで幕が開ける。90年代オタクのマルコムは、カセットプレーヤーとアナログレコードを偏愛。部屋には90年代グッズがあふれている。同じオタクでバンド仲間のディギー、男装女子のジブと学校へ行けば、不良や体育会系の生徒にからまれる。校内を逃げ回りながら、ハーバード大学進学を夢見る日々だ。

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マルコムはある日、地元で有名なドラッグディーラーのドムに「俺の誕生日パーティーに連れて来い」と命じられ、美女ナキアを誘って会場に向かう。しかし、警察の急な捜索でその場はパニックに。ドムはマルコムのバッグに大量の違法ドラックを隠してしまう。

「風が吹けば桶屋がもうかる」的に話は転がっていく。オタク高校生が違法ドラッグを手に入れ、困難を乗り越え、一発逆転の大勝負に出る。懐かしくどこか滑稽な90年代を、ポップな青春譚に仕立てた着眼点、センスがいい。70年代テイストを生かすクエンティン・タランティーノに共通する。

水と油に思える「オタク」と「犯罪」が、中盤から交わり初めて面白くなる。オタクならではの知恵と行動力で、マルコムがドラッグをさばいていく様子が痛快だ。軽妙に語られる恋と犯罪、勢いで駆け抜ける青春コメディーだ。

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「DOPE ドープ!!」(2015年、米国)
監督:リック・ファムイーワ
出演:シャメイク・ムーア、トニー・レボロリ、カーシー・クレモンズ、ゾーイ・クラビッツ、エイサップ・ロッキー
2016年7月30日(土)、渋谷HUMAXシネマほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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