2016/7/ 1

映画「ふきげんな過去」/ある夏、戸籍も抹消された前科持ちの未来子が帰ってきた――

ふきげんな過去

(C)2016「ふきげんな過去」製作委員会

東京・北品川のエジプト風豆料理屋「蓮月庵」で暮らす果子(二階堂ふみ)は、毎日が死ぬほどつまらない。とはいえ、抜け出してどこかへ行くこともできず、無為な夏を過ごしていた。ある日、果子たち家族の前に、18年前に死んだはずの伯母・未来子(小泉今日子)が戻って来る。「あたし生きてたの」。戸籍も抹消された前科持ちの未来子は「自分が果子の本当の母親だ」と言い出す。

戸惑う果子の家族に対し、未来子はあくまで図々しい。果子と小学生のいとこのカナ(山田望叶)は冷めた目だが、未来子と父・タイチ(板尾創路)はなにやら怪しい関係にも見える。未来子は果子の部屋に居候を開始。つまらない果子の日常に変化が訪れる。

舞台を思わせる演出も印象的

「ふきげんな過去」の見どころはなんといっても、二階堂と小泉の共演だ。昭和と平成世代の人気女優が、水と油の間柄を演じ、化学反応に期待が高まる。がむしゃらで正直な果子と、斜に構えて冷静な未来子。二人にあてがきしたようで興味深い。小泉が独特の空気感を作品に与え、一緒に現れた謎の男・康則(高良健吾)が物語のアクセントになる。

果子の毎日が少しずつ輝き出す過程が、淡々と描かれていく。果子と未来子の家族の記憶は、18年の空白をはさんですれ違っている。未来子は拒絶され二人は対立するが、果子の心の方が変化していく。

品川駅前の近代的なビル群と対照的に、果子の住む料理屋の付近はレトロな建物が点在している。まるで過去と現在を象徴するようだ。未来子の「空白の18年」の現実味が薄く、ちょっと浮世離れした点が惜しい。家族が向き合い豆をむくシーンなど、舞台を思わせる演出も印象的。少し変わった時間が流れる不思議な作品だ。


「ふきげんな過去」(2016年、日本)

監督:前田司郎
出演:小泉今日子、二階堂ふみ、高良健吾、山田望叶、兵藤公美
2016年6月25日(土)、テアトル新宿ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

(C)2016「ふきげんな過去」製作委員会

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