2016/4/ 9

映画「さざなみ」/夫の結婚前の恋人、許せる?許せない? 結婚45年目に入った亀裂

さざなみ シャーロット・ランプリング 銀座

(C)The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014

結婚45年の記念パーティーを週末に控えた老年カップル。当日までの6日間を妻の視点で追った作品だ。45年間、おそらく波風ひとつ立てず、仲睦まじく過ごしてきたのであろう、ジェフとケイト。そんな2人の前に突如として過去の"亡霊"が現われ、穏やかだった結婚生活にほころびが生じていく――。

ベッドに誘うが、あっという間に果ててしまう

きっかけは、スイスから届いたジェフ宛ての手紙だった。ジェフは結婚前にカチャという恋人と付き合っていたが、彼女は1962年に雪山で遭難死していた。その遺体が見つかったので、確認に来てほしいというのだ。

ジェフは「ぼくのカチャ」とつぶやき、うっとりした表情を見せる。まるで恋人との再会が楽しみでならないかのように。ケイトとしては、自分と出会う前の夫の恋愛など、気にとめないつもりだったろう。しかし、もうこの世に存在しないにもかかわらず、ジェフの心の中でカチャはまだ生きている。おまけにジェフはそれを隠そうともしないのだ。ケイトの心に激しい怒りと嫉妬が芽生える。

もしかしたら、ジェフはただの無邪気な男なのかもしれない。過去の恋愛である。しかも、相手は死者。浮気とは違う。過去の恋愛を懐かしむくらい、罪にならないはずだ。そんな思いでいたのではないか。だから、妻の過敏な反応に驚いているかもしれない。

そこにケイトとの意識のズレがあったか。ケイトにとっては、死者だからこそ問題なのだ。夫の心の中に潜む女を、夫から引き離すことなどできない。死者には勝てない。カチャのことをずっと隠してきたことも許せないだろう。

そんな妻の機嫌をとろうとしたか、久々にケイトをベッドに誘うが、あっという間に果ててしまう。そして、その後のジェフの行動が、ケイトに決定的な一撃を与えることになる──。

予定どおり開催される記念パーティー。ロングショットでとらえられた2人、とくにケイトの表情の変化を見逃さないでほしい。結婚とは、夫婦とは、恋愛とは。男と女の普遍的な問題を鋭く突きつける。シャーロット・ランプリングの演技が絶品である。


「さざなみ」(2015年、英国)

監督:アンドリュー・ヘイ
出演:シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ
2016年4月9日(土)、シネスイッチ銀座ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

(C)The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014

(C)The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014

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