出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2016/2/22

【第40回】人間の光と影、表と裏を描き出した衝撃ミュージカル「ジキル&ハイド」 ラストは誰にも言わないでください――

妖艶な娼婦がささやきかける「私で試してみたら?」

医者のヘンリー・ジキルは、長年研究を続けてきた「人間の善と悪を分離する薬」の人体実験の許可を得るためセント・ジュード病院の最高理事会に臨みます。すべては精神のコントロールを失った父を救うため、ひいては人類の幸せと科学の発展のためと確信するのですが、婚約者エマの父ダンヴァース卿、そして友人のアターソンから「死神よりも危険な理論だ」と忠告されます。二人の危惧は的中、上流階級の面々が集う理事会で、ジキルの要求はほとんど一方的に却下されました。

その夜、ジキルとエマの婚約パーティーが開かれます。そこに出席した理事会のメンバーは、この婚約を快く思ってはいません。パーティーを逃れ、ジキルはアターソンに誘われるまま、カムデンタウンにある娼館を訪れます。そこで出会った妖艶な娼婦ルーシーはジキルに甘くささやきます。「私で試してみたら?」――その言葉に、ジキルは自ら開発した薬を"自分の身体で試す"という解決法を見出します。

自宅に戻ったジキルは薬を服用。ほどなく体に異変が起きます。頭痛、恍惚感、痛みが全身を貫き、呼吸困難に......。ジキルの心と体は、エドワード・ハイドに変わりました。「自由だ!」――ハイドは叫び、ロンドンの夜の闇の中へ出てゆきます......。

その後、ロンドンの街には、猟奇的な殺人事件が続出するのでした。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]衝撃のラストが待ち受ける
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