朝の6時半だというのに、アメリカ・ニューヨークのセントラルパークに続々と人が集まってくる。abc放送の朝の人気ご長寿番組「グッド・モーニング・アメリカ」での無料公開LIVEに歌手アダム・ランバートが出演するとあって、全米各地からやってきたファンたちだ。
筆者も留学中の女性ディレクターと落ち合って、冷やかし半分でやってきた。アメリカのテレビ番組の公開放送の現場を見るのは初めてというマスコミ女二人の関心は、ステージ上のスタッフの動きだ。日本ではフロアーディレクターが観客に拍手の練習をさせ、携帯電話の電源オフ、撮影禁止といったご注意を告げる。
ところが、アメリカでは「つぶやけ、つぶやけ」とスタッフが観客をあおり、観客のつぶやきをステージ上で紹介し、もっと拡散しろとたきつける。日本でもSNSによる拡散が重要視されてきたけれど、さすがに放送現場でSNSに投稿、スマホでの撮影はご法度である。アメリカではどうぞご勝手にと逆に利用している。
引っ張っるだけ引っ張っる番組進行
アメリカの番組で観客がノッリノリ状態になっているのを見たことはないだろうか。実はスタッフが大きなプラカードにメッセージを書いている客を見つけてはステージに上げ、全員でほめる。父の日のメッセージを書いていた姉妹2人は、ステージ上で父親の携帯番号を聞かれ、スタッフが電話する。そして「今からみんなが一番気になっていることを聞くよ。いま何を着てるの」と質問する。「パジャマさ」と父親が答えると観客は大爆笑だ。
だんだんヒートアップしてきた会場で、極め付けはもっとも大騒ぎしてくれた観客にTシャツをあげるというもの。するとこれまた観客は騒ぐ。その様子を番組の途中にはさんでいくのだ。もちろんスタッフは映らない位置にいるので、テレビを見ている人はTシャツ欲しさに大騒ぎをしているとはまったく気づかず、LIVEを前に盛り上がっているように見える。あざといといえばあざといが、友人と思わず苦笑した。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。