2015/6/10

映画「遺言」「ニート・オブ・ザ・デッド」/愛がテーマの新感覚ゾンビ映画、2作品同時レイトショー

ゾンビ映画の先駆者、ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(68)。死者が蘇り、生きる者を襲うパターンを生んだ記念碑的作品だ。ロメロ監督は「ゾンビ」(78)、「死霊のえじき」(85)で作風を確立。ゾンビ映画はホラーの一ジャンルとして、世界的な人気を集めるようになった。

今回公開される日本映画「遺言」と「ニート・オブ・ザ・デッド」は、"愛がテーマの新感覚ゾンビ映画"。2作品同時にレイトショーで公開される。

家族の問題にゾンビが融合

「遺言」

ゾンビと化した夫(小幡誠)を殺せないまま、一緒にクラス京子(中島菜穂)。葛藤の中で京子は、夫の遺言を目撃する。「愛する人を自分の手で殺す」。究極の選択だ。ゾンビ映画の形を取りながら、介護問題、嘱託殺人を隠喩的に描く。上映時間32分。食い足りない感はあるが、木部公亮監督の伝えたいメッセージは重い。

「ニート・オブ・ザ・デッド」

ゾンビがはびこる世界。一軒家に籠城していた家族だったが、息子がいつの間にかゾンビと化していた。家から追い出すかどうか。父と母は対立する。

ホームドラマ風のコミカルなゾンビ映画だ。父と母が怪演に近い二人芝居を繰り広げる。息子役は金子修介監督の長男、金子鈴幸。寝たきりの祖父役で東映の名プロデューサー、吉田達が俳優デビューしている。フェイクホラーの名手、白石晃士監督の顔もちらり。異色作だ。

ニートな息子に過保護な母。家族の問題にゾンビが融合。監督、脚本、製作を担当した南木顕生は14年4月、初監督作品の完成を見ずにこの世を去った。


「遺言」(日本、2012年)

監督:木部公亮
出演:中島菜穂、小幡誠、白石直也、小柳基、神社勝之
「ニート・オブ・ザ・デッド」(2014年、日本)
監督:南木顕生
出演:筒井真理子、木下ほうか、金子鈴幸、吉田達、ホリケン。

2015年6月13日、東京・渋谷ユーロスペースで同時公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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