作家志望のコウタ(佐々木蔵之介)は、本好きなユーコ(永作博美)と出会い、17年目に結婚した。直後に妻の妊娠とがんが発覚。幸せな結婚は一転病との戦いへ。夫は妻の闘病をブログに書き始めるが、結婚から493日後、別れは突然訪れた──。
原作は09年にスタートしたがんの闘病ブログ「がんフーフー日記」。書籍、ドラマ化を経た映画版は、亡くなったはずの妻が夫の前に現れ、二人で「夫婦の軌跡を振り返る」スタイルを取っている。笑いと涙が合わさった、大胆でファンタジックな作品だ。
監督は「婚前特急」(11)、「わたしのハワイの歩きかた」(14)の前田弘二。主演の佐々木蔵之介、永作博美は、11年前のテレビドラマ以来久々の共演となる。
映像表現はとても独創的 2人が過去を俯瞰し、当時を振り返りつつ会話
いわゆる「闘病もの」の映画だ。しかし、もういない妻が夫にだけ見える形で現れ、夫婦漫才のノリでぼけと突っ込みを繰り返すスタイルは過去になく、映像表現はとても独創的。過去にあった出来事を二人が俯瞰し、当時を振り返りつつ会話する。一つの画面に過去の二人、今の夫と亡くなった妻。計4人が現れ、物語が進行する。
重くなりがちな話だが、前田監督ならではの軽妙な語り口、大胆な演出が光る。過去に夫婦役を経験している佐々木、永作の息もぴったり。漫才さながらのあうんの呼吸で、独特なリズムとテンポを作り出している。
夫の前に現れた亡くなった妻は、果たして幻想なのか、現実なのか? 結婚、出産、育児の幸せと、闘病生活の厳しさを上手に盛り込み、笑いと涙をバランスよく散りばめている。
「夫婦フーフー日記」(2015年、日本)
監督:前田弘二
出演:佐々木蔵之介、永作博美、佐藤仁美、高橋周平、並樹史朗
2015年5月30日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。