バラを盗んだ父の身代わりとなり、野獣(ヴァンサン・カッセル)の城に閉じ込められた娘ベル(レア・セドゥ)。ベルは死を覚悟したが、野獣はディナーを一緒にとること以外、何も要求しない。ベルはやがて、野獣のもう一つの姿に気づく──。
フランスの古典「美女と野獣」。単行本に絵本、ジャン・コクトー監督の実写映画版(46)、ディズニーのアニメーション版(91)、ミュージカルなどさまざまな形で表現されてきた。今回メガホンをとったクリストフ・ガンズ監督は、ギリシャ、ローマ神話の要素を取り入れ、人間と自然のつながりを描いている。
古典に独自のアレンジを加えたかつてない「美女と野獣」
監督はフランスの獣(けもの)伝説をアクション・ミステリーにした「ジェヴォーダンの獣」(01)、日本のホラーゲームがベースの「サイレントヒル」(06)など、圧倒的な映像表現で知られてきた。「美女と野獣」では絵本、映画、舞台、アニメなどで語り尽くされた題材に、独創的なビジュアルで新たな命を吹き込んだ。
もとは王子だった野獣はなぜ変身したのか。王子の秘密にスポットをあてながら、ベルと家族の横顔を掘り下げた導入部分。物語を大胆に拡大解釈したクライマックス。古典に独自のアレンジを加え、かつてない「美女と野獣」を作り出した。
一つ一つのカットは息をのむほど幻想的。映像は流麗で語り口はじょう舌だ。豪華なセットと衣装、最新のCG(コンピューター・グラフィックス)技術で、圧倒的な映像美で観客の視覚に訴える。スタッフの努力が画面から伝わってくる。
「インディペンデンス・デイ」(96)、「GODZILLA」(98)など、ハリウッドのクリーチャー・デザインの第一人者、パトリック・タトポロスが参加。米国とは一味違うフレンチ・ラブ・ファンタジー映画となった。
「美女と野獣」(2014年、仏・独)
監督:クリストフ・ガンズ
出演:ヴァンサン・カッセル、レア・セドゥ、アンドレ・デュソリエ、イボンヌ・カッターフェルト
2014年11月1日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。