2014/9/19

映画「ウィークエンドはパリで」/ノッティングヒルの恋人から15年 人生の黄昏をひと組の夫婦に託したミッシェル監督

恋愛映画の名作「ノッティングヒルの恋人」から15年。ロジャー・ミッシェル監督の最新作が「ウィークエンドはパリで」だ。結婚30年を迎えた熟年夫婦を通じ、「どうすれば二人は絆を強めつつ、人生を豊かにできるか」を描く。地元英国では通算22週のロングラン・ヒットを記録した。

勤め先の大学をクビになった

英国人夫婦のニック(ジム・ブロードベント)とメグ(リンゼイ・ダンカン)は、結婚30年を祝うためパリにやって来た。新婚旅行の思い出の地で、再び絆を確かめ合うために。しかし、当時泊まったホテルは記憶と違うみすぼらしさ。気を取り直して高級ホテルに乗り込み、最高級スイートにチェックインする。

パリの美食、ワイン、美術館、凱旋門。素晴らしい旅に満足するメグだったが、ニックが思わぬ告白をする。「勤め先の大学をクビになった」。メグの心は一気に冷え切り、二人は長年抱えてきた不満を相手にぶつけ始める。

そんな時、二人は街で偶然大学時代の友人モーガン(ジェフ・ゴールドブラム)に出会う。人気作家になり、地位も名誉も手にした彼は、二人を新作の出版記念パーティーに招待する。懐かしさと同時に、劣等感にさいなまれるニック。しかし、大勢の出席者を前に、メグが思わぬ告白をする──。

恋愛の甘さを描いた「ノッティングヒルの恋人」から長い時を経て、人生の黄昏をひと組の夫婦に託したミッシェル監督。結婚の永遠のテーマ「豊かに、長く関係を続ける方法」を丁寧に示していく。ときめきはとうに色あせている。時には(いやほとんど常に)相手がわずらわしい。それでも一緒にいるのはなぜか。どうすれば互いに幸せになれるか。

答えは明かされるのか。いや、明かされないのか。たぶん観客はメグのいらだち、ニックの気づかい、二人の後悔に、うなずきながら、首を振りながら見るだろう。30年の味わいは、パリのレストランで供されるワインのように深い。


「ウィークエンドはパリで」(2013年、英国)

監督:ロジャー・ミッシェル
出演:ジム・ブロードベント、リンゼイ・ダンカン、ジェフ・ゴールドブラム、オリー・アレクサンデル、ジュディス・デイビス
2014年9月20日(土)、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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