仏有名デザイナーの生涯を追った「イヴ・サンローラン」(2014年9月6日公開)主演の若手俳優ピエール・ニネがこのほど初来日し、東京都内で記者会見した。輝かしいキャリアを築いたサンローランについて、ニネは「時代を先読みする明晰さがあり、人々が何を好きになるかを読む能力があった」と語った。
これほど伝説的で鮮烈、魅力的な役のオファーがあることはない
イヴ・サンローラン財団が所有する衣装を貸し出し、ブランド初の「公認本格伝記映画」として注目される作品。主役に抜擢されたニネは、国立劇団コメディ・フランセーズ所属の25歳。本人によく似た容姿と雰囲気で、繊細なキャラクター作りに挑んだ。
サンローラン役への抜擢について、ニネは「思いもよらなかった。レスペール監督に呼び出され、作品への出演を依頼された。(脇役だと思っていたが)『君がサンローランだ!』と。これほど伝説的で鮮烈、魅力的な役のオファーがあることはない。とても幸運だと思った」と振り返った。
地元フランスでのヒットを受け、世界各地で好評を博したという同作。ベルリン、ニューヨークなど各地を回ったニネは「皆が興味を持つのは『ブランド帝国』の裏や背景だった。サンローランは時代を先読みする鋭い感受性を持つゆえ、心が痛み、極端な行動に走る一面があった」と分析した。
実在の著名な人物を演じるにあたり、加齢よる体の変化や声、素振りやしぐさ、ファッション業界用語の習得など、さまざまな専門家について勉強。「撮影前の5か月間、(サンローラン)本人の声を1日3~4時間聞いて勉強した。体のシルエット、布の触り方、アトリエでの仕事の方法も練習した」と語った。その上で、自身とサンローランは「まったく違う人物だ」と悟ったという。
サンローランの魅力について「彼は時代を先読みする明晰さがあり、人々が何を好きになるかを読む能力があった。撮影のため(サンローラン自身がデザインした)ドレスが運ばれてきた時、係が手袋をして美術品を扱うように触れていた。『最後に手袋なしでこのドレスを触ったのは、イヴ本人だったかもしれない』と思い、とても感銘を受けた」と話していた。
「イヴ・サンローラン」(2014年、フランス)
監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット、ニコライ・キンスキー
2014年9月6日(土)、角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネマライズほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
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