2014/7/31

映画「るろうに剣心 京都大火編」/負のオーラで支配する藤原竜也の怪演光る ギラギラした存在感で他を圧倒

激動の幕末を戦い抜いた伝説の剣士、緋村剣心(佐藤健)。かつて殺し屋"人斬り抜刀斎"と恐れられたが、世が明治に変わって平穏に暮らしていた。そこへ内務卿・大久保利通(宮沢和史)から呼び出しがかかる。剣心の後継者として"影の人斬り"になった志々雄真実(藤原竜也)が、京都で暗躍しているという──。

人気漫画の映画化第2弾「るろうに剣心 京都大火編」。2部作の前編にあたり、監督・脚本は再び大友啓史が担当した。1作目では闇のアヘン商人と戦った剣心。今回は自らの後継者が相手になる。剣心は人殺しをやめて「不殺(ころさず)の誓い」を立て、正義の味方となった。しかし、新政府の秘密を知りすぎた志々雄は、全身を焼かれて殺されかけた。包帯だらけで悪の化身として復活し、憎き新政府の転覆を目論む。剣心は志々雄を倒すため、一人京都へ向かった。

殺陣、格闘技シーンは香港仕込みの演出

志々雄の狂気がいかにすさまじいか。冒頭、斉藤(江口洋介)率いる警察隊が血祭りに上げられる。志々雄の右腕・宗次郎(神木隆之介)は、大久保を難なく暗殺してしまう。インパクトのある描写で敵の強さを印象付ける。京都の旅館に潜伏した剣心は、御庭番衆の元締め・翁(田中泯)と出会う。しかしその元弟子・蒼紫(伊勢谷友介)は、己の力を誇示するため剣心を付け狙っていた。一方、志々雄は京都の街を焼きつくす「京都大火計画」を実行に移そうとする。阻止しようとする剣心、警察、御庭番衆。剣心を追って京都に来た仲間の薫(武井咲)と佐之助(青木崇高)も参戦し、戦いはクライマックスへ。

濃密なドラマと新次元アクションが展開する「るろうに剣心」。前作に続いて佐藤健が切れのよいアクションを見せる。一般的な時代劇の殺陣とは一線を画し、格闘技にアクロバット的要素を加味した動きだ。ほぼノースタントなのにも驚かされる。神木隆之介、女剣士を演じた土屋太鳳ら、若手も驚きのアクションを披露する。伊勢谷友介と田中民の師弟対決は「スター・ウォーズ」(77)のヴェイダーとケノービのようだ。アクション監督・谷垣健治の演出は香港仕込み。俳優自身の動きに加え、ワイヤーを駆使して斬新さを際立たせた。

そしてなんといっても、作品を負のオーラで支配するのが志々雄役の藤原だ。素顔が出るのは回想シーンの数分のみ。あとはすべて火傷メーク、包帯でぐるぐる巻かれた状態にもかかわらず、ぎらぎらした存在感で他を圧倒する。いらつく言葉で剣心を挑発し、自分は手を下さず窮地に追い込んでいく。まだ剣心と志々雄の直接対決は描かれない。謎を残した幕引きに、後編「伝説の最期編」への期待が膨らむ。


「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」(2014年、日本)

監督:大友啓史
出演:佐藤健、武井咲、伊勢谷友介、青木崇高、蒼井優、神木隆之介、土屋太鳳、田中民、宮沢和史、小澤征悦、滝藤賢一、三浦涼介、丸山智己 、高橋メアリージュン、
江口洋介、藤原竜也
2014年8月1日(金)、9月13日(土)、2部作連続全国公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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