2014/7/29

映画「サンシャイン 歌声が響く街」/映画化権をめぐり激しい競争も 英国映画の魅力あふれる作品

英スコットランド・エジンバラ郊外の田舎町、リースを舞台にした「サンシャイン 歌声が響く街」。2007年の初演から大ヒットしたミュージカルの映画化だ。監督は俳優として「ダウンタウン物語」(76)、「エレファントマン」(80)、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(98)などに出演したデクスター・フレッチャー。長編監督2作目となる。

結婚25周年を迎えたロブ(ピーター・ミュラン)とジーン(ジェーン・ホロックス)。アフガニスタンで兵役に就いた息子のデイビー(ジョージ・マッケイ)が無事戻り、娘のリズ(フレイア・メーバー)と肩をなでおろす。家族4人は再び顔をそろえた。デイビーとともに退役した親友アリー(ケビン・ガスリー)はリズと交際中。看護師のリズは同僚のイボンヌ(アントニア・トーマス)を兄に紹介。兄と妹、それぞれが恋の行方に胸をふくらませる。

迷い、傷つき、ばらばらになってしまった家族

一方、父親のロブのもとに一通の手紙が届く。24年前、妻に隠れて関係を持った女性の葬儀の知らせだった。差出人は初めて存在を知った自分の娘。女性はロブと別れた後、一人で出産していたのだ。葬儀に出席したロブだが、突然現れた娘に言葉もない。

そんな中、ロブとジーン夫妻が結婚25周年を迎える。大勢の親せきや友人に囲まれ、盛大なパーティーで祝福される二人。ところがジーンは偶然ロブの上着のポケットにあった「娘」からの手紙を読んでしまう。夫の裏切りにショックを受けるジーン。かたやアニーはリズに突然のプロポーズ。戸惑うリズはその場で断り、祝いの席は台なしに。それぞれに迷い、傷つき、ばらばらになってしまった家族。思うようにならない人生に、希望の光は見えるのか──。

曇りがちなスコットランドの空、独特のアクセント、パブに集う男たち。英国映画の魅力あふれる作品だ。全編通して流れるのは、スコットランドを代表する人気デュオ「プロクレイマーズ」の名曲の数々。最後に歌い上げられる「I'm Gonna Be(500Miles)」は、ジョニー・デップ主演「妹の恋人」(93)の主題歌としても知られる。ミュージカル映画だが派手な仕掛けや演出はない。ごく普通の人々が、ごく普通に音楽とともに暮らす。生活に寄り添うメロディーが心地よく耳に残る。

原作になった舞台は地元スコットランドで大ヒットし、映画化権をめぐり激しい競争が展開されたという。メガホンを取ったフレッチャー監督の俳優デビュー作は、アラン・パーカー監督のミュージカル「ダウンタウン物語」。「子供の頃からずっと、ミュージカルに深い愛情と知識を持ち続けていた」という。スコットランドへの愛、音楽あふれる作品となった。


「サンシャイン 歌声が響く街」(2013年、英国)

監督:デクスター・フレッチャー
出演:ピーター・ミュラン、ジェーン・ホロックス、ジョージ・マッケイ、アントニア・トーマス、フレイア・メーバー
2014年8月1日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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