2014/7/20

映画「ママはレスリング・クイーン」/人生負け組の中年女性4人 レスリングで人生逆転なるか!?

フランスのスーパー、レジ係として働く女性4人。それぞれ厄介な問題を抱えている。中でもとびきりの"ワケあり女"が新参者のローズ。刑務所に5年も服役した前科者だが、職場の同僚たちは温かく受け入れる。女社長の性格は最悪でも、人生を再スタートさせる場所としては上々といえた。

ただしローズには悩みがあった。長年別れ別れになっていた息子のミカエルが、心を開いてくれない。どうすればいいのか。ローズが出した結論は「ミカエルが夢中のレスリング選手になること」。思い立ったが吉日だ。早速地元の人気レスラーだったリシャールの門を叩く。「仲間を集めればコーチを引き受ける」との答えに、ローズは職場の仲間を招集する。

浮気な夫との生活に疲れ切った五十路のコレット。いい男には目がない肉食系だが、恋人に恵まれないジェシカ。メルヘン系の内面と容姿とのギャップが大きいヴィヴィアン。人生負け組の3人は、女子プロレスラーの華やかなイメージにひかれ、起死回生のチャンスとも考えてローズの話に乗る。

スーパーのレジ係がプロレスラーに変身。うわさはたちまち町中に広がり、メキシコの極悪軍団との対戦も決まる。過酷なトレーニング。私生活のトラブル。果たして無事デビュー戦を迎えることができるのか? 息子との絆を固めることはできるのか?

一つひとつのエピソードが丁寧 まったく飽きない

ローズを中心に据えつつ、4人それぞれの人生に焦点を移動させながら、クライマックスに収れんさせていく。オーソドックスな展開ながら、一つひとつのエピソードが丁寧に描かれ、まったく飽きさせない。ほとんど女優たち自身が演じたファイトシーンも上出来である。

四者四様のキャラクターは、レスラーのコスチュームや役回りにも生かされている。50代以上の映画ファンなら、4人の中でもコレット役のナタリー・バイにまず目が行くのではないか。アメコミのヒロインでテレビドラマにもなった「ワンダーウーマン」の扮装で、空中からリングに降り立つシーンは必見だ。

実年齢より10歳以上も若い役だが、役柄以上に若々しく見えるのはさすが。練習シーンではスリーパーホールドで相手を絞め上げ、酒場の乱闘シーンでは見事なヘッドロック。20歳も30歳も若い共演者たちを尻目に大暴れだ。年下の同僚が恋焦がれるマドンナ的役目を担ってもいる。トリュフォー晩年期のミューズ、60代になっても十分に魅力的である。


「ママはレスリング・クイーン」(2013年、フランス)

監督:ジャン=マルク・ルドニツキ
出演:マリルー・ベリ、ナタリー・バイ、オドレイ・フルーロ、コリンヌ・マシエロ、アンドレ・デュソリエ、イザベル・ナンティ
2014年7月19日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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