70歳のおばあちゃんが、20歳の容姿に若返った──。韓国発のハートフル・コメディー「怪しい彼女」。主演は「サニー 永遠の仲間たち」(11)のシム・ウンギョン、監督は社会派映画「トガニ 幼き瞳の告発」(12)のファン・ドンヒョクだ。
「主人公が心は子供のまま大人に変身する」作品は過去にも多く作られ、コメディーの王道ともいえる。トム・ハンクス主演の「ビッグ」(88)、男女の心体が入れ替わるパターンで日本の「転校生」(82)、さらに「ひみつのアッコちゃん」まで。日本の映画やドラマも得意なジャンルだろう。
テレビ局にも注目されて...
「怪しい彼女」のおばあちゃん、マルスン(ナ・ムニ)は頑固で口が悪く、トラブル・メーカーの70歳。今は老人が集うカフェに勤めており、女手一つで息子を大学教授に育て上げた。しかし、息子夫婦と孫二人を困らせ、介護施設に入れられる話まで持ち上がっている。
マルスンはある日、街で不思議な写真館に吸い寄せられる。「遺影代わりに」と1枚撮った帰り道、バスのガラス窓を見ると、映っていたのは20歳の頃の美しい自分。マルスンは「神様のプレゼント」と勝手に? 解釈。名前を変えて別人として振る舞うと「外見は20歳、中身は70歳」のギャップにテレビ局のスンウ(イ・ジヌク)が着目。ドゥリは得意の歌と大胆な言動で周囲の注目を集めていく。
シム・ウンギョンが難役を好演している。ナ・ムニの演技やしぐさ、話し方をそのままコピー。乙女の恥じらいと毒舌が絶妙に混ざり合い、喜怒哀楽もはっきりと、コミカルな演技が秀逸だ。孫のバンドボーカルとして、韓国往年のヒット曲を歌う姿がとても魅力的である。
素晴らしい演技を引き出したファン・ドンヒョク監督は、前作「トガニ」の深刻な作風から一転。笑って泣ける喜劇で新たな才能を発揮した。ドタバタしたドラマの中に、主人公の歩んだ道のり、悪友の死などもさりげなく盛り込み、感動のクライマックスへ観客を導く。バランスも絶妙な韓国コメディーの傑作だ。
「怪しい彼女」(2014年、韓国)
監督:ファン・ドンヒョク
出演:シム・ウンギョン、ナ・ムニ、イ・ジヌク、ジニョン、パク・イナン
2014年7月11日(金)、TOHOシネマズみゆき座ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。