映画「リアリティのダンス」/"鬼才"ホドロフスキー監督23年ぶり新作「言いたいこともないのに毎年新作を撮る監督とは違う」
「エル・トポ」、「ホーリー・マウンテン」などの"鬼才"アレハンドロ・ホドロフスキー監督が23年ぶりの新作「リアリティのダンス」の日本公開(7月12日)を前に来日し、東京都内でこのほど記者会見した。監督は「今の文明は人間を非人間的にする。産業が地球を壊すと誰もが思っている。生きる感情が湧いてくる映画を作り続けたい」と語った。
次回はしっぽをもって生まれた男の数奇な物語?
日本未公開の前作「The Rainbow Thief(原題)」(90)以降の長いブランクについて、監督は「私はアーチスト。映画として言うべきことがなかったので作らなかった」ときっぱり。「言いたいこともないのに、ファストフードのハンバーガーのように毎年新作を撮る監督とは違う。詩やコミックなど23年間創造する行為はやめなかった」と語った。
「リアリティのダンス」は故郷のチリを舞台にした自伝的作品。田舎町での若きホドロフスキー少年、両親の関係を描いている。監督は「私はこれまで物語を語ってきたが、今回は自分の人生を語った。自分の人生が本物なら、人はそれぞれにそれを語ることができる」と説明。多くの観客と共有できる普遍的ストーリーと話した。
また、映画の幕開けとなる監督自身がお金に語るシーンについて「お金はキリストが説くように分かち合わなければ価値がない。循環すれば人の活力となり、分け合えば祝福が得られる。物質的な欲望のためだけに消費し、お金を使うのは悪。精神的な価値を開発し、前向きな生き方を作るために使うことが必要だ」と持論を展開した。
さらに次回作について、フランスでコミックとして出版されている「フアン・ソロ」の物語を「アクション作品として作りたい」と説明。しっぽをもって生まれた男の数奇な物語で、人間が生き残るための本能を描くといい「今の文明は人間を非人間的にする。産業が地球を壊すと誰もが思っている。底辺にいる人間が犯罪に巻き込まれながら、自分が人間であることを発見して生きていく話。この物語で人類を救済したい。生きる感情が湧いてくる映画を作り続けたい」と意欲を見せた。
「リアリティのダンス」公開に先立ち、未完の大作をめぐるドキュメンタリー「ホドロフスキーのDUNE」も公開。「スターウォーズ」などSF作品に大きな影響を与えた「DUNE」を監督らのインタビュー、膨大な絵コンテなどでつづった作品だ。
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、クリストバル・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー
2014年7月12日(土)、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥー、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン
2014年6月14日(土)、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
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