今月発表された第86回米アカデミー賞で、長編アニメーション賞と主題歌賞を獲得した「アナと雪の女王」。ディズニー・アニメとして初めて二人のヒロインを主人公に、アンデルセンの童話「雪の女王」にヒントを得て物語が作られた。
雪の女王となり、生まれて初めて自由と喜びを感じる
アレンデール王国の幼い姉妹、アナとエルサ。姉のエルサは雪や氷を作り出す力があり、いつもアナと一緒に雪だるまを作って遊んでいた。しかしある日、誤ってその力がアナを直撃し、傷付けてしまう。エルサは自分の力に驚き、おびえて部屋に閉じ込もる。二人は同じ城に暮らしながら、互いに顔を合わせぬまま成長した。
両親である国王夫妻が亡くなり、エルサが王位を継ぐことになった。国民の前に出るエルサだが、緊張と不安で落ち着かない。一方のアナは、南の国のハンス王子と恋に落ちる。戴冠式を終え、久々に再会した姉妹。アナが「ハンス王子と結婚したい」と告げると、エルサは猛反対。口論から感情的になり、公衆の面前で秘密の力を爆発させてしまう。
雪が吹き荒れ、海は凍り、王国は永遠の冬に閉ざされる。「もう誰も傷付けたくない」。エルサは山奥に逃げ込み、長く抑えていた力を解き放ち、雪と氷で輝く宮殿を作り上げる。宮殿の中で一人、エルサは雪の女王になり、生まれて初めて自由と喜びを感じる。
一方王国では、アナが姉を救うため、危険な雪山へ旅立った。途中で山男のクリストフに会い、案内役と頼んで氷の宮殿に向かう。アナはエルサを説得し、王国へ連れ戻せるのか──。
最先端技術を駆使して作られた雪、氷のイメージが素晴らしい。エルサの指先から放たれた氷は、瞬時に宙を駆けめぐり、生き物のように自在に動く。きらきらと舞う雪の結晶、フィヨルドと山を覆う一面の銀世界。雪や氷の質感は今までになくリアル。荘厳な氷の宮殿は、たたけば音が出そうに見える。
一方でこの物語は、二人のヒロインの成長と解放の過程を描いている。エルサは特別な力ゆえ、小さなころから自分を抑え、感情を殺してきた。隠しきれずにすべてが知れた後、空に向かって歌う主題歌「Let It Go」。「私は自由 これでいいの 自分の道を行く」。自らの解放を喜ぶ歌詞は、世界中の多くの少女を勇気づけ、背中をそっと押すに違いない。
「アナと雪の女王」(2013年、米国)
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
出演:クリステン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフ、サンティノ・フォンタナ、ジョシュ・ギャッド
2014年3月14日(金)、2D・3D全国公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。