2014/2/13

映画「神さまがくれた娘」/知的障害を持つ父が最後に選んだ結論とは――。父の深い愛を感じる

幼い少女と知的障害の父の愛を描くインド映画「神さまがくれた娘」。インド南部・タミル語映画界が送る心温まる人間ドラマだ。

インド南部の避暑地ウッティー。チョコレート工場で働くクリシュナ(ビクラム)は、5歳の一人娘ニラー(ベイビー・サーラー)を男手一つで育てている。ニラーを産んだ母は出産直後に亡くなった。しかし、父娘は職場の同僚や隣人の助けを受け、穏やかで幸せな毎日を送っていた。

ニラーは「お月様」の意味。その名の通り、丸く輝くように愛らしく、誰からも好かれる少女だった。学校に通うようになったニラーは、女性事務局長のシュヴェータと親しくなる。シュヴェータはある日、ニラーが姉の娘だと知る。姉は家を出たまま音信不通となり、そのまま亡くなっていた。

姉が残した一粒種。クリシュナが子供ほどの知能しかないと知ったシュヴェータは、父で資産家のラージェンドランと共謀。断りなくニラーをチェンナイの自宅へ連れ帰る。娘が突然いなくなり、クリシュナは混乱して街をさまよう。やがて若手弁護士のアヌ(アヌシュカー)と知り合い、娘を取り戻すため法的措置に訴えることに。

果たしてニラーは父のもとへ帰れるのか。娘の幸せを何より願うクリシュナが、最後に選んだ結論とは──。

年間製作本数は日本の3倍

年間製作本数1600本以上、世界随一の映画大国インド。日本の3倍、米国の2倍だ。国内市場はヒンディー語など35言語に分かれ、それぞれにスター俳優がいる。中でも北部のヒンディー語、中西部のテルグ語と並ぶのが南部のタミル語映画。12年には262本が製作され、国内トップとなった。

そんなタミル語映画界をけん引する実力派俳優の一人が、クリシュナを演じたビクラム。日本でも知られる"スーパースター"ラジニカーント(『ムトゥ 踊るマハラジャ』『ロボット』)に続く存在として、現地で高い人気を誇っている。

一方、娘ニラーを演じたサーラーは、ヒンディー語映画界出身。今回の出演に向けタミル語を学び、台本を丸暗記して撮影に臨んだという。愛らしい表情、大人顔負けの感情表現が光る。

日本でもこのところ、インド映画の公開がコンスタントに続いている。昨年の「きっと、うまくいく」、「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」、「マッキー」などに続き、2月は「デリーに行こう!」と「神さまがくれた娘」が公開される。いずれも異なるジャンル、キャストに彩られ、インド映画の奥深さを知る機会になるだろう。


「神さまがくれた娘」(2011年、インド)
監督:A・L・ビジャイ
出演:ビクラム、ベイビー・サーラー、アヌシュカー、アマラー・ポール、ナーセル
2014年2月15日(土)、渋谷ユーロスペース、シネマート六本木ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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