美貌の敏腕女社長と無責任中年男が繰り広げる珍道中。2月15日公開の「デリーに行こう!」は、笑って笑ってほろりとさせられる、インド発の人情ロードムービーだ。
インド最大の商業都市・ムンバイ。大手投資銀行のやり手女性社長ミヒカ(ラーラ・ダッタ)は仕事でデリーへ向かった。しかし、搭乗した便は機体トラブルで手前のジャイプールに着陸。やむなく怪しげなタクシーをチャーターし、陸路デリーへ向かうことに。
車は夜道をひた走っていたが、運転手の道案内は頼りない。路肩に停車したところ、機内で見かけた布屋の男マヌ(ビナイ・パタック)と偶然再会する。調子のいいマヌは「俺が一緒に行く。大丈夫だ!」とむりやり乗車。ミヒカはなぜかマヌとデリーへ向かうはめになる。
有名ブランドのスーツで身を固め、潔癖症で完ぺき主義者のミヒカ。「なんとかなる」が口ぐせで、トラブルも気にしないマヌ。正反対の二人は車や列車を乗り継ぎ、旅先でさまざまな人たちに出会い、助けられて前へ進む。最初は怒りを爆発させていたミヒカも、徐々に心を開いていく。
ついにデリーの灯が見えた。マヌの自宅を訪れるミヒカ。そこで見たものに、彼の楽観主義、前向きな姿勢の秘密が隠されていた──。
最後に明かされる秘密に、思わず涙腺が緩む
マヌを演じたパタックによると、ムンバイは「洗練されて都会的な大都市」。デリーは「もっとのんびりして人と人の関係が緊密な街」だそうだ。そこを水と油、住む世界も違う二人が、車に乗り合わせて山あり谷ありの旅を展開する。
行き先々でみられるインドの風景、生活が興味深い。掘っ建て小屋のような道端の食堂では、お世辞にも清潔とはいい難い料理が運ばれる。飛び乗った列車はすし詰めで、さながらインド社会の縮図を見るよう。それでも人々はくったくなく、活力に満ちあふれている。最初は顔をしかめていたミヒカも、次第に彼らのペースに合わせ、流れにまかせるようになる。
最後に明かされる秘密に、思わず涙腺が緩む。パタックは「インド人は悩みがあってもユーモアを見つけ、前向きになる方法を探す。貧しくても裕福でも、教育があろうとなかろうと関係ないんだ」という。マヌの一見無責任な行動は、日本に住む私たちの背中も、そっと押してくれるだろう。
ミヒカを演じたラーラ・ダッタは、2000年のミス・ユニバース。夫はテニスの元有名選手マヘシュ・ブパシ。夫妻が設立した映画会社の初作品で、ダッタは製作も兼ねている。
「デリーに行こう!」(2011年、インド)
監督:シャシャーント・シャー
出演:ビナイ・パタック、ラーラ・ダッタ
2014年2月15日(土)、オーディトリウム渋谷ほかで全国順次公開。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。