2014/1/15

映画「グォさんの仮装大賞」/こっそり老人ホームを抜け出した みんなでテレビに出るために―

老人ホームのお年寄りたちが、人気テレビ番組への出演を目指し、こっそりホームを抜け出す中国映画「グォさんの仮装大賞」。「こころの湯」(99)、「胡同のひまわり」(05)などのチャン・ヤン(張揚)監督最新作だ。

一人っ子政策に伴う中国の高齢化に焦点

舞台は中国北西部。妻を亡くしたグォさん(シュイ・ホァンシャン=許還山)は、チョウさん(ウー・ティエンミン=呉天明)を頼って老人ホームへ入る。入居者はみな家族との生活をあきらめ、残りの人生を一人で過ごしていた。代わり映えのしない毎日に、グォさんの気力はそがれていく。

そんなグォさんを励ますホームの仲間たち。ある日、チョウさんがテレビの人気番組「仮装大賞に出よう」と提案。ところが職員や家族は強く反対。なんとか夢を実現しようと、一行はおんぼろバスに乗り、こっそりホームを抜け出す――。

キャストには中国のベテラン俳優がずらりそろった。「古井戸」(87)のウー・ティエンミン、「孔子の教え」(09)のシュイ・ホァンシャン、「初恋のきた道」(99)の女優リー・ビン(李濱)、「活きる」(94)のニウ・ベン(牛犇)、中国パントマイム界の先駆者ワン・ダーシュン(王徳順)。笑って笑って、ほろりとさせる人間ドラマに深みを与えている。

「胡同のひまわり」(05)では親子の葛藤を描いたチャン監督。「グォさんの仮装大賞」では、一人っ子政策に伴う中国の高齢化に焦点を当てた。

チャン監督は製作の動機を「両親との関係が良好でなかった私は、家族、特に父と子の関係を問う作品を作ってきた。彼らが年老いた今、身近な高齢者である両親が何を考えてきたか、理解したいと強く思うようになった」と説明。中国の高齢者を取り巻く環境について「受け皿の老人ホームは十分役割を果たせていない。お年寄りの孤独死も起きている。彼らの思いに触れ、高齢者問題にスポットを当てたかった」と話している。


「グォさんの仮装大賞」(2012年、中国)
監督:チャン・ヤン(張揚)
出演:シュイ・ホァンシャン(許還山)、ウー・ティエンミン(呉天明)、リー・ビン(李濱)、ワン・ダーシュン(王徳順)
2014年1月11日(土)、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

人気キーワードHOT

特集SPECIAL