イタリアのミラノで起きた未解決爆破事件をテーマにした「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」が12月21日公開され、東京・新宿で識者によるトークショーが開催された。
1969年、学生運動が激化するミラノのフォンターナ広場で、隣接する農業銀行が爆破され、死者17人、負傷者88人の大惨事となった。容疑者が逮捕されるが真相は解明されず、イタリア史上最大の未解決事件に。その後「政府が国益を優先し、事実を隠ぺいした」との指摘も出ている。
テロの目的とは何か?
トークには映画監督で作家の森達也氏、新右翼「一水会」顧問の鈴木邦男氏、進行役で朝日新聞社記者の諸永裕司記者が参加。日本の未解決事件「下山事件」について取材経験のある森、諸永両氏は「(フォンターナ広場事件と)重なるところがある」と語った。
また、テロ事件が発生し、謀略説が広まる過程について、鈴木氏は「この映画のように、権力は途中から相乗りしてくる。何か起こると利用しようとする。それが怖い」と話した。
さらに、森氏が「テロの一番大きな目的は、不安や恐怖を与え、政治的な目的を達成する過程にすること」と説明。外交・安全保障政策を協議する「国家安全保障会議(日本版NSC)について「テロの定義を分かっていない人が、テロを理由に国民を管理する法律を作る。テロが目的としている方向に現状が乗っ取られていく。この映画は44年前の事件を描いているが、今の日本に重要なメッセージを突き付けているのではないか」と語った。
「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」(2012年、伊・仏)
監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
出演:ヴァレリオ・マスタンドレア、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ミケーラ・チェスコン、ラウラ・キアッティ、ファブリツィオ・ジフーニ、ルイージ・ロ・カーショ
2013年12月21日、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。