自然ドキュメンタリーに定評がある英BBCが、科学的検証を経て実写とCG(コンピューター・グラフィックス)を組み合わせたアドベンチャー映画「ウォーキング with ダイナソー」。同社が製作した「アース」(07)、「ライフ いのちをつなぐ物語」(11)に続く作品だ。
ザックおじさん(カール・アーバン)に連れられ、米アラスカの恐竜化石発掘現場を訪れた甥と姪の兄妹。兄は森で言葉を話す鳥と出会い、導かれるまま7000万年前の恐竜世界を垣間見る。そこから一気に時代は白亜紀後期へ。
恐竜の生態を分かりやすく描く
主人公は草食恐竜パキリノサウルスのパッチだ。ひときわ体の小さいパッチは、子供のころに肉食恐竜にかまれ、右側の角に大きな穴が開いている。冬が来ると食料を求め、温暖な南へ移動するパキリノサウルスの群れ。しかし、旅路は楽ではなかった。肉食恐竜ゴルゴサウルスの襲撃を受け、群れを率いるパッチの父は子供たちの目の前で死んでしまう。兄と一緒に群れからはぐれたパッチは、さまざまな試練を乗り越え、仲間に会うため旅を続ける。
英BBCは生物を模したロボット「アニマトロニクス」を用い、テレビや舞台用作品を製作してきた。今回は科学的な検証を重ねた上、最新のCGや3D技術も加え、圧倒的なスケールの映像が実現している。動物やおもちゃを擬人化するディズニーのアニメ同様、恐竜たちは人間のように会話する。子供のパッチを主人公に、恐竜の生態を分かりやすく描く。ファミリー層にぴったりの作品だ。
とはいえ、映し出される映像は、大人が見ても驚くクオリティー。スティーブン・スピルバーグ監督の「ジュラシック・パーク」(93)から20年。CGの完成度は頂点に達した感がある。アラスカやニュージーランドの実写映像を背景に、CGで作られた恐竜たちを合成。まるで実際に大自然に暮らしているかのよう。錯覚を与えるほど見事な映像である。
オープニングとエンディングには、「スター・トレック」(09)のドクター・マッコイ役、カール・アルバーンがナビゲーター的に出演。ファンは必見だ。
「ウォーキング with ダイナソー」(2013年、英・米)
監督:ニール・ナイチンゲール、バリー・クック
2013年12月20日、TOHOシネマズ 日劇ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。