死んだはずの男と、未来を奪われた女。出会うはずのなかった2人が出会い、事態は思わぬ方向へ転がっていく。ニールス・アルデン・オプレブ監督、コリン・ファレル主演作「デッドマン・ダウン」。緻密に張られた伏線、緊迫感ある演出が渋いサスペンス・アクションだ。
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」オプレヴ監督、初の本格ハリウッド作品
過去を捨て孤独に生きる殺し屋・ビクター(コリン・ファレル)。ボスで裏社会を牛耳るアルフォンス(テレンス・ハワード)は、何者かの脅しにおびえていた。脅迫文や謎めいたメモが届き、ついに仲間が惨殺される。ビクターはいらだつボスを横目に、一人冷静さを保っていた。
ビクターの向かいのマンションには、痩せて地味な女・ベアトリス(ノオミ・ラパス)が暮らしている。交通事故で顔に傷を負った彼女は、ビクターに「あなたが人を殺した現場を見た。黙っている代わりに、私をこんな顔にした男を殺してほしい」と告げる。動揺するビクターだが、選択の余地はなかった。
一方、彼も心に決意を秘めていた。愛する妻子を殺した男に復讐する。計画を着々と練り、後は実行に移すばかりだった。しかし、ボスの命令、仲間の疑心暗鬼、ベアトリスの存在も絡み、事態は思わぬ方向に展開する──。
核心的な出来事を巧みに隠しつつ、物語はじりじりと展開する。重く暗い過去を背負った主人公の男女。ファレルとラパスが感情を押し殺した演技で、緊張感を持続させる。画面は終始モノトーン。徹底して憂鬱な空気が作品全体を覆う。
ハリウッド・リメイクが話題となった「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(09)のデンマーク人監督、オプレヴの初の本格ハリウッド作品。ファレルはアイルランド、ラパスはスウェーデン、ボス役のテレンス・ハワードは米国、ベアトリスの母役はフランスのイザベル・ユペール。絶妙な無国籍感が作品に深みを与えている。
「デッドマン・ダウン」(2013年、米国)
監督:ニールス・アルデン・オプレブ
出演:コリン・ファレル、ノオミ・ラパス、テレンス・ハワード、ドミニク・クーパー、イザベル・ユペール、アーマンド・アサンテ、F・マーレイ・エイブラハム
2013年10月26日、新宿ミラノほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
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