2013/10/12

映画「蠢動 -しゅんどう-」/三上康雄監督インタビュー「高い理想などない。自分が観たいものを撮っただけ」

会社を売却直後、妻の陽子さんは亡くなった

俳優たちには動きが「本物」であることを求めた。

「今の時代劇は段取りで撮っている気がする。僕のイメージと俳優さんの考えをすり合わせて、俳優さんには演技をしてもらった。(せりふが少ないのは)武士はそれほど話さないのでは、と思ったから。撮影は『収穫』で編集は『調理』。調理でいかにメリハリを付けるか」

撮影はすべてロケで行った。自ら各地を歩き、雪中シーンが撮れる場所を探し回った。若手俳優には半年間、みっちり殺陣を練習させた。目指したのは「武士道」を縦糸に、「走る」「斬る」を横糸に織りなす活劇だ。

「いかにリアルにするか。若い俳優には『斬られるんではなく、斬りに行くんや』と。ベテランの俳優さんたちは知識も経験も豊富。所作もきちんとされる。生かされる機会が少ないのは惜しい」

会社を売却直後、妻の陽子さんが亡くなった。

「ぼろぼろになり、何か打ち込むものが必要だった。(生前)映画を撮りたいと話したら、妻は『やりたいならやったらええ』と言ってくれた」

時代劇にしか描けぬ物語。「蠢動 -しゅんどう-」には、監督の思いが詰まっている。


「蠢動 -しゅんどう-」(2013年、日本)
監督・脚本:三上康雄
出演:平岳大、若林豪、目黒祐樹、中原丈雄、さとう珠緒、栗塚旭、脇崎智史
2013年10月19日、東京・有楽町スバル座、大阪・TOHOシネマズなんばほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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