2013/10/ 6

映画「フローズン・グラウンド」/懲役461年の実刑判決 今も服役中の殺人犯が主人公

1983年、米アンカレッジ。薄暗いモーテルの部屋に、女性が監禁されている。彼女の名はシンディ・ポールソン(バネッサ・ハジェンズ)。17歳の娼婦だった。駆け付けた警察官に保護され、「指名した客に殺されかけた」と訴える。

名指しされた男は、ロバート・ハンセン(ジョン・キューザック)。善良で紳士的なビジネスマンだ。警察はシンディの言葉を信じず、娼婦と客のトラブルで処理しようとする。しかし、現場に駆け付けた警官は納得しない。黙って調書を州警察に送付した。

監督は広告業界出身 今回が長編映画デビュー

一方、凍て付く川沿いの平原で、身元不明の少女が遺体で発見される。退職間近の州警察刑事、ジャック・ハルコム(ニコラス・ケイジ)が担当となり、最近続けて起きた変死体発見との関連を推測。シンディの調書で同一犯と確信し、ハンセン逮捕に動く。しかし決定的証拠が見つからない。

やっとハンセン宅の家宅捜索にこぎつけたハルコムは、遺体発見現場の薬きょうと一致するライフルを発見。シンディに証言を依頼するが、ハンセンの魔の手はすぐ近くに迫っていた──。

連続女性殺人を描いた「フローズン・グラウンド」。83年に発覚した「アンカレッジ女性連続殺人事件」をベースにしている。女性17人を殺した罪で懲役461年の実刑判決を受け、今も服役中の殺人犯が主人公だ。狩猟好きのハンセンの家には動物のはく製が掲げられ、善良そうな表の顔との対比で一層不気味に感じられる。

ポイントは良識派の刑事にケイジ、猟奇的殺人犯をキューザックが演じているところ。これまでのイメージなら逆の配役が妥当だろう。二人とも四十代後半を迎え、安定した演技で観客を引っ張っていく。監督は広告業界出身で、今回が長編映画デビューのスコット・ウォーカー。結末が見える物語だけに、もうひとひねりほしかったが、ハジェンズの体当たり演技にも注目だ。


「フローズン・グラウンド」(2013年、米国)
監督:スコット・ウォーカー
出演:ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、バネッサ・ハジェンズ、カーティス"50cent"ジャクソン
2013年10月5日、有楽町スバル座ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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