2013/10/ 3

映画「ムード・インディゴ うたかたの日々」/カラフルで遊び心に満ちた奇想天外な空想世界へようこそ!

パリの街を見下ろす広いアパルトマンで、コラン(ロマン・デュリス)は自由に楽しく暮らしている。同居人は人の言葉が分かるネズミ。専属シェフのニコラ(オマール・シー)の腕は天才的で、繰り出す料理は奇想天外だ。

永遠の青春小説の映画化

コランの親友シック(ガッド・エルマレ)はある日、ニコラの姪と恋に落ちる。「僕も恋がしたい」。恋人探しにでかけたパーティーで、コランはクロエ(オドレイ・トトゥ)に一目ぼれ。やがて二人は恋人同士になる。

働かず生きられる財産を持つコランと、無垢で純粋なクロエ。二人の毎日は、夢のように過ぎていく。雲に乗って街を散策したり、地下の森にもぐったり。「二人でいるなら何度でもやり直せる」。コランはクロエにプロポーズし、太陽の光が降り注ぐ中、盛大な結婚式を挙げた。

しかし、幸せは長く続かなかった。クロエが「肺に睡蓮の花が咲く」病にかかってしまう。コランは手を尽くすが、病状は一向に好転しない。日に日に弱っていくクロエ。疲れ切ったコランは、ニコラさえ解雇し、アパルトマンは荒れ果てていく。コランは力を振り絞り、ありったっけの愛でクロエの命をつなぎとめようとするが──。

「エターナル・サンシャイン」(04)のミシェル・ゴンドリー監督作「ムード・インディゴ うたかたの日々」。39歳で夭逝したフランスの作家、ボリス・ヴィアンの大ヒット小説を映画化した。1946年の発表後、今も読み継がれる"永遠の青春小説"だ。

コランの家にある「カクテルを作るピアノ」。初めてのデートで二人が乗る「雲形の空中散策マシーン」。ニコラが繰り出す見たこともない料理の数々。茶目っ気たっぷりに人の言葉を話すネズミ。

ゴンドリーが描く空想世界は、カラフルで遊び心に満ちている。最新の特殊効果で作られたものではなく、手作り感があふれ、温もりある物や空間。登場人物の楽しいやり取りに、思わず触れて入りたくなる世界だ。

「タイピスト!」のロマン・デュリス、「アメリ」のオドレイ・トトゥ、「最強のふたり」のオマール・シー。日本で人気のフランス人俳優がそろい踏み。泡のように消える"うたかたの日々"が、観る者を夢の中に導いてくれる。


「ムード・インディゴ うたかたの日々」(2013年、フランス)
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、ガド・エルマレ、オマール・シー、アイッサ・メガ
2013年10月5日、新宿バルト9、シネマライズほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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