2013/8/20

映画「ペコロスの母に会いに行く」/赤木春恵、89歳映画初主演「これまでは憎たらしい姑役ばかりだった(笑)」

「ペコロスの母に会いに行く」の完成披露上映会が8月18日、映画の舞台となった長崎市で開かれ、主演の赤木春恵、岩松了、原田貴和子、原作者の岡野雄一が舞台あいさつした。89歳の赤木は映画初主演で、85歳の森崎監督も9年ぶりの新作。赤木は「かわいらしいおばあちゃんに見えるよう心がけた」と語った。

認知症の母と見舞う息子 原爆が落とされた頃の記憶がよみがえり...

岡野の同名漫画が原作。長崎の老人ホームを舞台に、認知症の母(赤木)と見舞いを続ける息子(岩松)の日常を描く。原爆が落とされて間もないころの父母、酒乱だが優しかった父の記憶、母の元を訪れる父の幻影などが、親子のなにげない会話を通して映し出される。

高齢にもかかわらず「暑中お見舞い申し上げます」と観客を気づかった赤木。「これまでは憎たらしい姑役ばかりだったので(笑)、なんとかかわいらしいおばあちゃんに見えるよう心がけた」と笑顔を見せた。岩松は「(原作の)母親を思う息子の気持ちがすごく、役に染み込ませたかった。自分はあまり親孝行できなかった。赤木さんと接することを通じ、母にできなかった孝行をしたいと思わせてくれた」と話した。

一方、岩松はタイトルになった「ペコロス(小さな玉ねぎ)=ハゲ頭」スタイルのかつらに相当苦労した様子。「着けて外すのに毎日5時間半もかかり、苦行でした。いったい誰のせいだろうって(笑)」と話すと、隣にいた岡野が「僕のせいで、すみません」と返し、客席の笑いを誘った。

また、この日は岩松、原田、岡野が長崎出身。原田の妹・知世も出演しており、「結婚」(93)以来20年ぶりの姉妹共演が実現した。故郷での凱旋上映に、原田は「長崎弁でのお芝居は新鮮だった。長崎出身で姉妹そろっての出演はうれしい」と喜びをかみ締めていた。

さらに、体調を考慮して欠席した森崎監督のコメントが読み上げられた。人情喜劇を得意とする監督らしく「お暑うございます。残念ですが、もう少し生き延びたくて、大事をとって欠席させて頂きます」とユーモアたっぷりのメッセージを寄せ、客席を沸かせていた。


「ペコロスの母に会いに行く」(2013年、日本)
監督:森崎東
出演:岩松了、赤木春恵、原田貴和子、加瀬亮、竹中直人、大和田健介、松本若菜、温水洋一、原田知世、宇崎竜童
2013年11月9日、長崎先行上映。11月16日から全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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