米ロサンゼルスの犯罪多発地区、サウス・セントラル。地区担当の白人巡査のテイラー(ジェイク・ギレンホール)とメキシコ系巡査のザバラ(マイケル・ペーニャ)は、地域で屈指の検挙率を誇る名コンビだ。ある日2人はパトロール中、メキシコの麻薬カルテルの秘密に触れ、犯罪組織に狙われる──。
「エンド・オブ・ウォッチ」とは、警察官が1日の終わりに業務日誌に書く"EOW(勤務時間終了)"を意味する。一方で、警察内で隠語の「二度と帰宅できない="EOW(殉職)"」としても使われる。
「REC」など最近のホラー映画に近い構成
猛スピードで逃げる車を、パトカーが追尾する。逃走車は追い詰められ、容疑者2人が車から投降。パトカーに発砲するが、警官2人は冷静に応戦。2人を射殺する。一部始終は、パトカーの車載カメラにとらえられていた。本作はほぼ全編、警官が写したビデオ映像で綴られる。日本のテレビでよくある「警察密着ドキュメンタリー」を、警官自ら撮影したような作品である。
テイラーはビデオカメラを持ち歩き、胸のポケットにはクリップで挟むペン型超小型カメラを装着。さらにパトカーには車載カメラがあり、勤務の一部始終を撮影している。主観映像がメインの構成は「REC」など最近のホラー映画に近い。
テイラーとザバラは街をパトロールしながら、通報があると現場に駆けつける。ヒーロー然とした従来の警官映画とは異なる風合いだ。舞台は5分に1度犯罪が起きるサウス・セントラル。2人は警察学校の同期で、プライベートでも家族ぐるみで付き合う兄弟のような関係だ。しかし、大小さまざまな事件に対応するうち、危険な犯罪現場に足を踏み入れ、ギャングに命を狙われてしまう。
監督、脚本のデビッド・エアーは「トレーニング・デイ」(01)、「ワイルドスピード」(同)の脚本担当を経て、「バッドタイム」(05)で監督デビュー。今回が3本目の作品となる。「10代はサウス・セントラルのギャングとして過ごした」というエアーは、町の空気と裏社会を知り尽くしている。小型カメラが映し出す映像は、米国の闇と警官の奮闘を生々しく描き出した。
「エンド・オブ・ウォッチ」(2012年、米国)
監督:デビッド・エアー
出演:ジェイク・ギレンホール、マイケル・ペーニャ、アナ・ケンドリック、ナタリー・マルティネス、ハイメ・フィッツシモンズ
2013年8月17日、丸の内TOEIほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。