被爆地・長崎を舞台に人々の出会いと再生を描く「爆心 長崎の空」が7月20日公開され、主演の北乃きい、稲森いずみ、柳楽優弥、日向寺太郎監督、主題歌を歌った歌手の小柳ゆきらが舞台あいさつした。北乃は「自分が無知だったと痛感した。長崎で起きたことを、私たちの世代にも伝えていきたい」と語った。
稲森いずみ「当たり前だと思っていた明日が一瞬で終わり、苦しみは今も続いている」
戦後68年。母を失くした子、子を亡くした母が長崎でめぐり合い、痛みを共有しつつ、人生に希望を見出していく「爆心 長崎の空」。芥川賞作家で長崎原爆資料館館長を務める青来有一の小説「爆心」を、実写映画「火垂るの墓」(08)の日向寺太郎監督が映画化した。
祖父母が原爆を体験した被爆3世を演じた北乃は「撮影の合い間に原爆資料館に行き、自分が無知だったと痛感した。長崎で起きたことを私たちの世代にも伝えていけたら」とあいさつ。公開に向け各地で宣伝活動に取り組み、いよいよ迎えた初日に「昨日からわくわくして眠れなかった。やっとこの日を迎えられた。泣きそう」と涙をにじませた。
また、幼いわが子を亡くした母を演じた稲森は「原爆資料館に行った時、涙が止まらなくて、立っていられないほどだった。当たり前に続くと思っていた明日が一瞬で終わり、苦しみは今も続いている。知ること、伝えることの大切さを思い知らされた。この映画に参加できてよかった」と語った。
「火垂るの墓」に続き、戦争をテーマにメガホンを取った日向寺監督。「素晴らしいスタッフ、キャストに恵まれ、撮り終えることができた。撮影初日から雪が降って大幅な予定変更があり、今日が迎えられると思わなかった」と振り返った。舞台となった長崎について「土地の記憶をベースに、受難や苦難、悲しみから人間がどう立ち上がるか。再び生き直すかを描きたかった」と話していた。
「爆心 長崎の空」(2013年、日本)
監督:日向寺太郎
出演:北乃きい、稲森いずみ、柳楽優弥、北条隆博、渡辺美奈代
2013年7月20日、東劇ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。