陽光ふりそそぐ海。物悲しいメロディー。美しき青年の嫉妬と欲望──。"絶世の美男子"アラン・ドロンの代表作「太陽がいっぱい」が、初来日から50年を記念してリバイバル上映される。
何年たっても忘れがたい衝撃のラストシーン
太陽がふりそそぐローマ。金持ち息子のフィリップ・グリンリーフ(モーリス・ロネ)は、親の金で放蕩の日々を送っていた。きらめく海岸。白く豪華なヨット。酒、女、美食。思うままに遊びまわるフィリップを、父親は友人のトム・リプリー(アラン・ドロン)に命じて連れ戻そうとする。
一方、フィリップを見る貧しい青年トムの心に、制御不能な思いがわき上がる。嫉妬、欲望、野心。抑え切れない暗い衝動、やがて抱かれる殺意。綿密な計画でフィリップを殺したトムは、完全犯罪をもくろみる。ヨットを売り払い、身分証明書を偽造し、サインをまねる。トムはフィリップになりすまし、新たな人生を始めようとする。
しかし、フィリップの友人・フレディがトムの犯行に気付く。追い込まれたトムはフレディも殺害。すべてを覆い隠し、完全犯罪は達成されたように見えたのだが──。
この世の光と影を映し出す「太陽がいっぱい」は、作品を形作るすべての要素が鮮烈に胸に迫りくる。青い海ときらめく光。ドロンの息をのむ美しさ、胸に秘めた暗い欲望。南欧の開放感、若くやるせない虚栄心。映画音楽の巨匠、ニーノ・ロータの旋律が、物悲しさをさらに際立たせる。
そしてラストシーンの衝撃。何年たっても忘れがたい余韻を残す。
「太陽がいっぱい」(1960年、フランス・イタリア)
監督・脚本:ルネ・クレマン
出演:アラン・ドロン、マリー・ラフォレ、モーリス・ロネ
2013年7月20日、新宿シネマカリテでリバイバル上映スタート。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。