2013/7/11

映画「ベルリンファイル」/南北、中東、ロシアまで 一寸先も読めない韓国発スパイアクション

東西冷戦の象徴、ドイツのベルリン。高級ホテルの一室で、極秘の武器取引が行われている。かたやアラブ系組織の男たち。かたや北朝鮮諜報員のジョンソン(ハ・ジョンウ)。双方は緊迫した空気の中、相手の出方を読んでいる。

一方、その様子を遠くからうかがう男がいた。韓国情報部員のジンス(ハン・ソッキュ)。ジンスは包囲網を狭めて現場に踏み込み、逃げたジョンソンの後を追う。なぜ極秘の取引情報が漏れたのか。間一髪で追っ手をかわしたジョンソンは首をかしげる。

そこへ北朝鮮の保安監察員ミョンス(リュ・スンボム)が出現。「お前の妻に二重スパイ疑惑がかけられている」と告げる。ジョンソンの妻ジョンヒ(チョン・ジヒョン)は、駐ベルリン北朝鮮大使館の通訳だった。

言い知れぬ身の危険を感じたジョンソンは、ジョンヒを連れて逃避行を始める。妻は何を知っているのか。誰が情報を漏らしたのか。さらに事態に絡むロシア、アラブ、米国の陰の男たち。疑いが疑いを呼ぶ中、さらに大きな陰謀が明らかになる──。

「シュリ」のハン・ソッキュ、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョンの豪華顔ぶれ

韓国で700万人を動員した「ベルリンファイル」。主演はハ・ジョンウ。「チェイサー」(08)、「哀しき獣」(10)など、"追われる男"を演じればぴかいちだ。追うジンスには「シュリ」(99)のハン・ソッキュ。普段のソフトなイメージを一転、追跡に執念をかける男を熱演する。物語の鍵を握るミンスには、個性派俳優のリュ・スンボム。ヒロインに「猟奇的な彼女」(01)のチョン・ジヒョンと、豪華な顔ぶれとなった。

ベルリンを縦横無尽に駆ける逃走劇、空間を自在に利用したアクション。ハ・ジョンウの体当たり演技が光る。しかし、中東からロシアまでさまざまな組織が絡んでくるうえ、後半はジョンソンの夫婦愛がクローズアップ。全体に散漫になった印象は否めないが、韓国発の本格アクションとして見ごたえ十分だ。


「ベルリンファイル」(韓国、2013年)
監督:リュ・スンワン
出演:ハン・ソッキュ、ハ・ジョンウ、リュ・スンボム、チョン・ジヒョン、イ・ギョンヨン
2013年7月13日、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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