表向きは商社、裏の顔は殺人請負企業。事業はずばり人殺し。そんな組織の中間管理職を務めるヒョンド(ソ・ジソブ)は凄腕の殺し屋だった。一方、新人社員のフン(キム・ドンジュン)は仕事で認められ、安定した生活を送りたいと願っていた。
ある日2人は組んで仕事に向かう。しかしヒョンドは密かに、フンの殺害も命じられていた。死を覚悟したフンは「自分の全財産を家族に渡してくれ」とヒョンドに頼む。ヒョンドがフンの実家を訪れると、出てきた母のミヨン(イ・ミヨン)は、自分が若い時に憧れた歌手だった。
ヒョンドは社に隠れてフンを逃がし、かくまい、ミヨンら家族と触れ合うようになる。普通の暮らしに接することで、普通の幸せを夢見るようになるヒョンド。しかし、裏切りは社に知れ、同僚の殺し屋に命を狙われることに──。
激しい銃撃戦は痛快 アクションもドラマも盛りだくさん
弱肉強食の現代。フンのように学歴が低く、過去に問題を起こした若者は、定職に就くことさえ難しい。一方、ヒョンドのような人生の大きな方向転換も、実際には困難に違いない。平凡な「ある会社員」というタイトルには、普通の人として、普通の人生を送る難しさが込められている。
そんな普通を夢見る男が、組織と壮絶な戦いを繰り広げる。若干やり過ぎの感もあるが、激しい銃撃戦は痛快だ。ミヨンら家族のほのぼのとしたシーンもあり、アクションにドラマと盛りだくさんの内容になっている。
主演は「映画は映画だ」(08)、「ただ君だけ」(11)のソ・ジソブ。クールな殺し屋から、人間の温かさを知る男へ、徐々に変化する感情を繊細に表現。激しいアクションでは体当たりの演技も見せている。
ヒョンドが憧れるミヨンには「純愛中毒」(02)、「肩ごしの恋人」(07)のイ・ミヨン。フン役には人気上昇中のK-POPグループ「ZE:A(ゼア)」のキム・ドンジュン。フレッシュな演技に注目だ。
「ある会社員」(2012年、韓国)
監督:イム・サンユン
出演:ソ・ジソブ、イ・ミヨン、クァク・ドウォン、イ・ギョンヨン、キム・ドンジュン
2013年6月1日、新宿ピカデリーほかで公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。