人気脚本家・宮藤官九郎の「中学生円山」は、「少年メリケンサック」(09)に続く監督3作目。テーマはずばり「中学生の誇大妄想」だ。"エッチな自主トレ"に励む中2の円山克也(平岡拓真)は、やり過ぎで脳に電流が流れ、妄想世界にトリップ。そこではセクシー美女が誘惑し、半裸のギャル軍団が踊り狂う。
草なぎ剛は"子連れ狼"、徘徊老人は"裏社会の黒幕"...
ロードムービーの前2作から一転、限定された団地空間で奇想天外なドラマが展開する。妄想に輪をかけるのが、ご近所に住む謎の男・下井(草なぎ剛)。妻なし子持ちの下井は仕事がある様子もなく、乳母車を押して主婦たちと過ごす。近所で起きた殺人事件を機に、克也の妄想の矛先は下井へ。下井を"凄腕の殺し屋=子連れ狼"に仕立て、ノートに物語をつづる。
さらに団地の人々も妄想の餌食になる。徘徊老人の井上(遠藤賢司)は裏社会を牛耳る黒幕。電気屋パク(ヤン・イクチュン)は、韓国から来た殺し屋。キャラクターはそれぞれ架空映画の予告編で表現される。クエンティン・タランティーノが映画本編と予告編で構成した「グラインドハウス」(07)を思わせ、楽しくエキサイティングな映像だ。
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