2013/5/11

映画「L.A.ギャング ストーリー」/男くさいギャング物好きにはたまらない 今によみがえった「七人の侍」

1949年、米ロサンゼルス。暗黒街を牛耳るギャングのボス、ミッキー・コーエン。賭博、売春、麻薬に銃器売買──敵なき闇の帝王をつぶすべく、ロス市警の"はぐれ者"6人が結集する。

"男くさいギャング物"好きにはたまらない。コーエン抹殺を命じるのは、ニック・ノルティ演じるパーカー本部長。本部長の命を受けて警官チームの中心となるのは、ジョシュ・ブローリン演じるオマラ巡査部長。オマラを助ける一匹オオカミに、ライアン・ゴズリング演じるウーターズ巡査部長。迎え撃つコーエンにショーン・ペン。見ただけでわくわくする顔ぶれだ。

圧倒的な存在感で警官たちを飲み込もうとするショーン・ペン

警察内で一匹狼だった男たちが、一人、また一人とオマラの呼びかけに応じる。盗聴のプロ。早撃ちで鳴らす男とその弟子に、ナイフ投げの達人。そう、この過程は今によみがえった「七人の侍」(54)であり、ハリウッド・リメイク作「荒野の七人」(60)なのだ。それぞれが「思うところあって」命がけの任務に身を投じる。男たちは多くを語らない。応じる理由も口にしない。観客は無言の行間に彼らの決意を感じ取り、過去や心情に思いをめぐらせる。

"悪の権化"コーエンも申し分ない。猜疑心が強く、機転が利き、容赦なく乱暴な陰の実力者。実在したコーエンが憑依したように、ペンは圧倒的な存在感で警官たちを飲み込もうとする。名作「アンタッチャブル」(87)でロバート・デ・ニーロが演じたアル・カポネ同様、見る者を離さぬ熱演。

ブローリンの無骨な正義感。ゴズリングの冷たい瞳と孤独。ノルティの清濁合わせのむ貫禄。ペンの制御不能な狂気。ロスの闇夜のきな臭さをかぎつつ、俳優の味をかみ締め、味わえる作品だ。


「L.A. ギャング ストーリー」(2013年、米国)
監督:ルーベン・フライシャー
出演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、ニック・ノルティ、エマ・ストーン、アンソニー・マッキー、ジョヴァンニ・リビシ、マイケル・ペーニャ、ロバート・パトリック、ミレイユ・イーノス
2013年5月3日、丸の内ルーブルほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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