「エイリアン」、「グラディエイター」、「プロメテウス」のリドリー・スコットが製作総指揮、「ウォンテッド」のジェームズ・マカボイ、「ワールド・オブ・ライズ」のマーク・ストロング共演の犯罪サスペンス「ビトレイヤー」。監督・脚本は英国の新鋭エラン・クリービー、長編2作目となる。
銃撃シーンのスローモーションはジョン・ウーの影響?
捜査官マックス(マカボイ)と、大物犯罪者スターンウッド(ストロング)。因縁の対決で物語は幕を開ける。スターンウッド率いる強盗団を一人で追うマックス。バイクに分乗して逃げる一味を追い詰めるが、膝を銃で打ち抜かれて捕り逃がし、マックスは心身ともに深い傷を負う。
3年後。息子が事件に巻き込まれたスターンウッドは、潜伏先からロンドンへ戻る。心の傷が癒えないマックスだったが、同僚の捜査官サラ(アンドレア・ライズブロー)も現場復帰を願っていた。マックスにとっては、宿敵を逮捕するまたとないチャンス。スターンウッドとニアミスを繰り返すものの、あと一歩で捕まえられない。
追う者と追われる者。衝突を繰り返す二人は、やがて警察、政界が絡んだ陰謀の渦に巻きこまれていると知る。敵対していた二人が、生き延びるために協力。巨大組織と戦うことになる。
「ビトレイヤー」は"裏切り者""内通者"を意味する。近未来を思わせるロンドンのビル街を舞台に、ブルーを基調としたスタイリッシュな絵作り。クリービー監督が敬愛する監督たちの影響を作品の端々に感じる。全体のクールなトーンと映像美はスコット兄弟、捜査官と犯罪者の因縁対決はマイケル・マンの「ヒート」。銃撃シーンの甘美なスローモーションはジョン・ウーの影響だろう。
物語は意外な展開に驚かされるが、黒幕の正体が面白みに欠けた。ストイックな犯罪者役のストロング、復讐に燃える熱血刑事役のマカボイ。水と油のように交わるはずのない男同士が、感情をぶつからせて生まれる不思議な連帯感。主演二人の内面からにじみ出る演技が見どころだ。
「ビトレイヤー」(2013年、英・米)
監督:エラン・クリービー
出演:ジェームズ・マカボイ、マーク・ストロング、アンドレア・ライズブロー、ピーター・ミュラン、ジョニー・ハリス
2013年5月4日、新宿シネマカリテほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。