ちっぽけな探偵事務所で働く義手の男・ヨンゴン。ある日、ソンヒョンと名乗る美女から、「ある男を殺してほしい」と依頼を受ける。断ったものの必死な様子に「何かある」と直感。急いで後を追うが、あろうことか目の前でソンヒョンは命を落としてしまう。ところがその後、彼女の死の手がかりを追っていると、死んだはずのソンヒョンが現れる――。
アクション、サスペンス、コメディーを組み込んだ探偵映画
「エイリアン・ビキニの侵略」(11)で注目を浴びたオ・ヨンドゥ監督。"韓国インディーズの星"が打ち出す新作が「探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男」だ。正義感あふれる探偵ヨンゴンが、美女の未来を救うため、時空の壁を越えた戦いを繰り広げるSFアクションだ。
物語の核となっているのが、正十二面体のタイムマシン。片手に収まるポケットサイズで、一見オモチャのようだが、カチャカチャ動かすだけでタイムトラベルできる。手に入れれば世界征服も可能だろう。
冒頭、殺し屋との激しい格闘の末に殺されるのが、タイムマシンを発明したスンリョン博士だ。ソンヒョンは博士の弟子。彼女の死にも殺し屋一味が絡んでいた。彼らの狙いがタイムマシンであることは言うまでもない。
ソンヒョンがヨンゴンに「殺して」と頼んだ男は、博士を亡きものにした殺し屋だった。ソンヒョンは殺し屋を抹殺するため、タイムマシンで3日後の未来からやってきた。つまりヨンゴンの目の前で死んだソンヒョンは、3日後から来たソンヒョン。現在の彼女ではない。死んだはずなのに生きているのは、そのためなのだ。
だがその理屈でいくと、3日後にソンヒョンは死んでしまう。ヨンゴンは彼女の死を阻止するため、殺し屋たちとの壮絶なタイムマシン争奪戦を開始する。残された時間は3日。果たしてヨンゴンはソンヒョンを救えるのか――。
手の平サイズのタイムマシンというのが、いかにも21世紀的でスマートだ。しかもSFのジャンルに閉じ込めず、アクション、サスペンス、コメディーを組み込んだ探偵映画として仕上げた点も独創的。ラストに含みを持たせており、続編を期待していいかもしれない。
「探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男」(2011年、韓国)
監督:オ・ヨンドゥ
出演:ホン・ヨングン、チェ・ソンヒョン、ハ・ウンジョン、ペ・ヨングン
2013年3月23日、K's cinemaほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。