2013/2/14

映画「奪命金」/愚かしく抜け目ない ジョニー・トーが描く「金と欲望の香港狂騒曲」

ジョニー・トーが生きてきたリアルな「香港」

脇役として光るのが、香港で見かけるさまざまな「もの」たちだ。会話をかき消す道路の騒音。向かい合わせば額が触れるほど狭い食堂のテーブル。カンカンカンカン、耳につく横断歩道の信号音。路地で台車を転がすランニングに短パンの男たち。

ジョニー・トーは生まれ育った香港を、愚かしくも抜け目ない人々を通し愛情をこめて描く。生き馬の目を抜かれても、金に足をとられて転んでも、ただでは起きない。バラバラに動いていた3人は、互いに気付かず雑踏ですれ違う。わき目など触れるひまはない──あの騒々しくエネルギッシュな、街の熱を肌に感じる瞬間だ。


「奪命金」(2011年、中国・香港)
監督:ジョニー・トー
出演:ラウ・チンワン、リッチー・レン、デニス・ホー
2013年2月9日、新宿シネマカリテほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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