2013/2/ 7

映画「アウトロー」/トム・クルーズが魅せる大人のアクション 「M:Iシリーズ」に続くか?

台詞に頼らず、映像で物語を伝えていく 冒頭の8分は圧巻

作品には1970年代アクション風のアナログ的な雰囲気が漂い、クリント・イーストウッド主演「ダーティー・ハリー」(1971年)を彷彿させる。推理とアクションが同居し、トムのカラーが前面に出される。リーチャーが丸腰で多人数を相手にするシーン、武装した敵との切れのあるファイト。身体能力を最大限にアピールする。ノースタントでカーアクションにも挑戦。推理劇の合間を埋めるサービス精神が心憎い。さらに、助っ人としてロバート・デュヴァルが登場。トムとは「デイズ・オブ・サンダー」(1990年)以来、22年ぶりの熱い共演だ。

過去のクルーズ作品と比べ、ぐっと渋さが増している。障害を乗り越えて真相にたどり着く過程を、マッカリー監督は腰を据えてじっくり描き出す。台詞に頼らず、映像で物語を伝えていく。中でも冒頭8分の緊張感は特筆に値する。一方で壮絶なカーチェイスの後、ぱっと糸を緩めてユーモラスなシーンを挿入。緩急つけた演出がうまい。

五十代に突入したトム・クルーズが、大人のアクション映画として送り出した新作。多くの観客を魅了するだろう。


「アウトロー」(2012年、米国)
【ストーリー】ピッツバーグ近郊。白昼に6発の銃弾が発射され5人が殺害された事件で、元米軍スナイパーのジェームズ・バーが逮捕された。証拠がすべて揃えられ自白を強要された彼は、黙秘を続け「ジャック・リーチャーを呼べ」と紙に書いて要求する――。警察がリーチャー(トム・クルーズ)の身元を掴めないなか、突然リーチャーが現れる。かつて軍の秘密捜査官をしていた彼は、事件の矛盾点に気づき始めていく。凄腕のバーが弾を外すわけがなく、物証が完璧過ぎたからだ──。
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、ベルナー・ヘルツォーク、デビッド・オイェロウォ
2013年2月1日、丸の内ピカデリーほかで全国公開。オフィシャルサイト

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

2

人気キーワードHOT

特集SPECIAL