2013/2/ 5

映画「きいろいゾウ」宮崎あおい×向井理初共演
ファンタジーをまぶした夫婦の物語

子供時代に入院生活を送った妻利愛子="ツマ"(宮崎あおい)は、孤独を癒すように絵本「きいろいゾウ」を読んでいた。やがて空想の世界で絵本と対話し、木々や動物の声が聞こえるようになる。背中に大きな鳥のタトゥー(入れ墨)を入れた売れない小説家・無辜歩="ムコ"(向井理)は、過去の傷を背負い暮らしていた。2人は満月の夜に出会い、結婚する。しかし、ムコに届いた差出人のない手紙が、2人を大きく揺るがせる──。西加奈子の同名小説を「余命1ヶ月の花嫁」の廣木隆一が監督した。

宮崎あおいの殺気を感じるほど熱演に注目

表向きは宮崎あおいと向井理、人気スター初共演の恋愛ドラマ。中身は現在と過去の間で揺れ動く夫婦の愛の物語だ。ファンタジー的でふわりと口当たり良い柔らかさに、ツマの疑心や情念がところどころ挿入される。成人映画でキャリアをスタートさせ、長年女性を描いてきた廣木監督らしい演出だ。

差出人のない手紙とムコの過去により、心が壊れゆく宮崎の演技が光る。東京に向かう前の晩。台所で水道の水を止めようと蛇口をつかむムコの手を、ツマが何度もコップで叩く。殺気を感じるほどの熱演だ。

手紙や日記などの小道具をうまく取り入れ、他人の2人が夫婦という関係を築き上げる。普遍的なテーマを描きつつ、少量のファンタジーをまぶした点がこの作品の面白さだろう。ツマの子供時代を演じた本田望結、植物や虫の声を演じた大杉漣、柄本佑、安藤サクラ、高良健吾ら豪華キャストにも注目してほしい。


「きいろいゾウ」(2012年、日本)
【ストーリー】幼い頃、入院生活を送っていた妻利愛子(つまり・あいこ)="ツマ"は、孤独な日々を癒すかのように絵本"きいろいゾウ"を大切に読んでいた。空想の世界で自由に旅をしながら絵本と対話するようになったツマは、木々や動物たちの声が聴こえるようになっていく。背中に大きな鳥のタトゥーが入った売れない小説家の無辜歩(むこ・あゆむ)="ムコ"は、過去の傷を背負ったまま暮らしてきた。
監督:廣木隆一
出演:宮崎あおい、向井理、濱田龍臣、浅見姫香、本田望結、緒川たまき、リリー・フランキー、松原智恵子、柄本明、大杉漣(以下声の出演)、柄本佑、安藤サクラ、高良健吾
2013年2月2日、新宿ピカデリーほかで全国公開。オフィシャルサイト

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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