2013/2/ 1

「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
アン・リー監督「パイ役は16歳の素人。カメラに愛されると思った」

賞はボーナスのようなもの。作品が完成しただけで満足

──今、注目されるアカデミー賞の行方について。監督にとってアカデミー賞はどんな存在なのでしょう。

世界中の人々が見る、世界最大のショーだ。芸術的に最高の作品が受賞するわけではないが、まず(審査員が映画業界関係者なので)同業者に認められたことになる。世界の人々の前で発言もできる。ともに作品を作った同僚たちに感謝の言葉を述べられることが最高の名誉だ。

──アカデミー賞では「リンカーン」が最大のライバルになりそうですね。将来台湾についての映画を撮るつもりはありますか。

「リンカーン」など恐れていません(笑)。今回の作品はとても変わったプロジェクトで、作品が完成しただけで満足だ。賞はボーナスのようなもの。映画の仕事にかかわり20年になるが、この作品を通じて友人もたくさんでき、幸せだった。11部門で候補になっただけで名誉なので、もし受賞してしまったらスピーチが心配(笑)。

「ライフ・オブ・パイ」は英語作品だが、アジア映画だと思っている。実際にアジア各国で(興行的に)成功を収めている。アジアの表現で世界、特に米国に影響が与えられる時代が来た。いい企画があれば台湾でも撮りたいと思う。



「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」(2012年、米国)
【ストーリー】インドのボンディシェリで動物園を経営していたパテル一家は、カナダ・モントリオールに移り住むことになる。16歳の少年パイ(スラージ・シャルマ)と両親、そして多くの動物たちは貨物船に乗り込むが、太平洋上を航行中、嵐に見舞われて船は沈没してしまう。ただ一人パイは救命ボートに逃れて一命を取り留めるものの、そのボートにはリチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラが身を潜めていた。わずかな非常食で飢えをしのぎ、家族を亡くした悲しみと孤独にも耐えるパイ。そんなパイと一頭のトラとの227日間にも及ぶ太平洋上の漂流生活が始まった...。
監督:アン・リー
出演:スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、ジェラール・ドパルデュー
2013年1月25日、TOHOシネマズ日劇ほかで全国公開。オフィシャルサイト

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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