みみっちい嫉妬心なのか、焦りなのか。手にとった雑誌のタイトルは「女ですもの 色気がなくちゃ」。ハイ、これ即買いです。平積みされている雑誌を買って自宅へ猛ダッシュ。まずは付録についている骨盤矯正クッションを顔を真っ赤にしながらふくらます。あれ、オカシイ、肺活量が前よりもガクンと落ちている。いくら空気を送り込んでもなかなか膨らんでくれない。極度な運動不足にヘビースモーカーの悲しいなれの果てか。ついに同居人にクッションを膨らましてもらう始末である。まぁ、しゃあない。さぁ、いよいよ本題の雑誌。「このままだときっとダメなの、私」とすがる思いで記事に目を走らせる。
雑誌買って真似しようと決意してけど、面倒臭そうで...
雑誌にはさまざまな化粧方法で色気アップ作戦が出ている。でも、メイクアップ技術がめんどくさそう。基礎化粧品で肌を整えたら、下地の塗り方からファンデーションの効果的な使い方と、メイクアップ方法がこれでもかとワンサカ紹介されている。私、疎いのでしょうか。歳をとり過ぎたのでしょうか。どうにも誌面で微笑み流し目を送るモデルたちに共感できない。というのも、あらゆるテクニックを施された最新色気メイクが、どれも同じように見えて違いが分からない。何が色気なのかさっぱりわからないオバハンは、半分も読まないまま雑誌を閉じてしまった。
キレイにならなくちゃと女ゴコロをくすぐられたのは、何も恋をしたからではない。いや、恋をするよりも強烈な印象かもしれない。それは書店に走る数時間前の出来事だった。ある食事会に参加していたキラキラOLにノックアウトされてしまったのだ。
知り合いの男性ディレクターに誘われた食事会にいたのは、某IT企業のPR担当の女性だ。20代後半に入ったぐらいの令嬢はとても爽やかな印象だった。手を美しく見せるというベージュ系にストーンを使ったネイルに、艶のある長い髪。サテンのノースリープからスラリと伸びた腕は、産毛のうの字も見当たらないほどなめらかだ。虫さされやあせも、ひっかき傷なんて見当たらない。マッチロチロな美しい肌の持ち主は、メイクもあくまでもナチュラルだけど、この暑さにも関わらず全くメイク崩れをしていない。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。