己に魔法をかけ、他人も錯覚させるテクニック
さて、メイクに話を戻そう。以前、ヘアメイクアップアーティストの方にメイクの心得を伺ったことがある。さまざまな媒体で活躍する彼女はこう教えてくれた。
「メイクは長所をより引き立たせ、コンプレックスをカバーしてくれるという錯覚の魔法」
彼女のメイク理論は、コテコテに盛るメイクではなく、生まれ持った顔にちょっとプラスして、美という錯覚を生みだすことという。テクニックで見た目が美しくなる錯覚と、キレイになった自分を見て気分がよくなるという錯覚。己に魔法をかけ、他人にまで錯覚を覚えさせられたらメイクは大成功だ。
だが、彼女は最後にこうも付け加えた。
「自分をよくわかってないと、メイクもただの邪魔者」
これが一番難しいのだけど、ただの邪魔者になり下がったメイクをしている人のほうが、世間的にはよっぽど多いはずだ。仮面のような厚化粧。その人はいったい何を引き立たせ隠そうとしているのか。メイクを見ると、その人の性格までがわかってくるようにも思える。
美人=遅刻の方程式を、自分の都合で記憶していた私。仕事がなければ、あの時、膨大な時間をかけて厚化粧という仮面を纏っていたのだろう。そう思うと、少々顔から笑みが消えていく。これならやっぱりノーメイクを貫くスタイルにしたほうがいいのだろうか。これからのメイク時間、そんなことを思いながらますます時間だけがかかり、仕事に遅れそうな予感がしてくる。
モジョっこ
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。