2011/5/ 7

カラオケもこれがないと歌えない!?歌詞テロップのタイミング絶妙

制作会社の友人と飲んでいるときのこと。「こんな感じの番組って出来ないかな」と企画メモを彼が見せてくれた。内容は今の社会に必要と思われ、多くの人から共感も呼ぶであろうとてもいい企画。詳細はお伝えできないが、時代のニーズには合致している。さぁ、これからこの企画をどう番組に発展させていこうか。どうする、どうすると鼻息荒く意気揚々。

が、時すでに遅し。すぐに類似の企画番組が誕生していたことを知る。では、こんなのはどうだろうかと再び意気込んでみたものの、そちらも狙いが全く同じような番組が新しく誕生するらしく、すでにロケが始まっていることを知り愕然とする。まぁ、こんなことは日常茶飯事といってもいい。あぁ、タイミングさえ間違わなければなかなかイイ番組になったろうにと自画自賛をしながらため息をつく。

そう、大事なのはその絶妙なタイミング。早すぎてもダメ、遅過ぎてもダメ。ちょうどいい感じに見ている人に気付きを与え、共感を持ってもらえるようにするのは、生半可な企画ではとても無理なのだ。

0・1~0・2秒先行して色チェンジ

先日、ある番組の取材でカラオケ会社の制作内部を見せてもらった。そこで歌詞テロップの色変えの巧妙さに舌を巻いた。普段、何気なく歌っているけれど、あのテロップの色が変わらないと、実は非常に歌いにくい。会社サイドに協力してもらい、特別に白いままの歌詞で歌ってみた。たいして変わらないだろうと考えていたら、歌い慣れた曲でも歌い出しのタイミングがわからずズレてしまう。

歌詞テロップは色が変わっていくのが当たり前になっているから、色が変わらない状態に脳内がパニックを起こし慌ててしまう。実際のメロディーよりも遅れるだけでなく、その歌いにくさに思わず噴き出してしまうほどだ。あまりにも当たり前に思っていることでも、実はそこに叡智が隠されている。そこまで大げさではないが、そのぐらい大きな発見だった。

カラオケ会社では、歌い出しがズレないように、歌詞のテロップは歌い出しの際は0・1秒から0・2秒先行して色変えをしているのだという。その絶妙なタイムラグが歌い出しを上手く歌える秘訣なのだ。うろ覚えの曲でも歌詞の色変えのタイミングを見て、記憶力が蘇ってくるというもの。言われてみればそうだ。歌詞のレイアウトもテンポの早い曲は2行ぐらい、演歌は歌詞を1行だけ、次の歌詞を出すタイミングは曲ごとに全て変えているなどなど、素人が歌う用に作られているカラオケには、気持ちよく歌を歌えるように様々な工夫がなされていた。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]世渡りもタイミング。でも、ドンピシャ過ぎると...
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