2014/5/15

映画「ニューヨーク 冬物語」/100年の時を越え、今に命をつなぐ大人のファンタジー

100年を"生きた"男の物語「ニューヨーク 冬物語」。原作は1983年に米で出版されたベストセラー「ウィンターズ・テイル」。米アカデミー賞受賞作「ビューティフル・マインド」の脚本家、アキバ・ゴールズマンの初監督作品だ。

"ニューヨークへのラブレター"と絶賛された原作

19世紀末のニューヨーク。孤児として育ったピーター(コリン・ファレル)は、裏社会を支配するパーリー(ラッセル・クロウ)のもと、汚れ仕事で生計を立てていた。しかし、あまりに非道なパーリーに我慢ならず決裂。裏切り者として命を狙われるようになる。

ある日、逃走資金を盗むため侵入した邸宅で、ピーターは美貌の令嬢ベバリー(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)と鉢合わせる。二人は恋に落ちるが、ベバリーは不治の病に侵されていた。幸せな日は長く続かず、ベバリーはピーターの腕の中で息を引き取る。

悲しみにくれるピーターを、パーリーが執拗に追跡する。ピーターからベバリーへの無償の愛が、世の中に希望を与えることを恐れたパーリー。ピーターを追い詰め、ブルックリン橋からイーストリバーへ突き落とした。

100年後のニューヨーク。ピーターは記憶を失いず、街をさまよっていた。数少ない手荷物の中から、手がかりを探し出し、新聞社の資料室へ。記者のバージニア(ジェニファー・コネリー)が検索した写真に、ベバリーの姿があった。「彼女を知っている」と涙ぐむピーター。しかし彼の背後には、やはり時を越えて追ってきたパーリーの魔の手が迫っていた──。

"ニューヨークへのラブレター"と絶賛された原作を、美しく再現したファンタジー。ピーターはなぜ100年の時を越え、今に命をつないだのか。パーリーが彼を追う真の目的は何か。ベバリーの最期の言葉が意味するものは。数々の謎を散りばめつつ、観客を物語の世界に引き込んでいく。

ファレルの骨太で手堅い演技、フィンドレイのみずみずしさ。「ビューティフル・マインド」で共演したクロウとコネリーが、監督のデビュー作に華を添えている。おとぎ話のあんばいもほどよく、大人も楽しめるファンタジーだ。


「ニューヨーク 冬物語」(2014年、米国)

監督:アキバ・ゴールズマン
出演:コリン・ファレル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、ウィリアム・ハート
2014年5月16日(金)、新宿ピカデリーほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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