米大手映画会社・20世紀フォックスの子会社「FOXサーチライト」。アート映画の配給部門として1994年に設立され、良作を世に送り出してきた。設立20周年作品の第1弾として先月、「セッションズ」(ベン・リューイン監督)が公開。第2弾が1月31日公開のサスペンス「ザ・イースト」だ。
テロリストに同情してしまう女性潜入捜査官
環境テロリスト組織「イースト」。環境破壊や健康被害を起こす企業を標的に、テロを仕掛けて事業を妨害し、イメージダウンを図る。メンバーは神出鬼没。正体を隠し、ゲリラ的に動いていた。
一方、元FBI捜査官のジェーン(ブリッド・マーリング)は、テロから企業を守る調査会社に採用され、「イースト」への潜入捜査を命じられる。「サラ」と名前を変え、髪を染め替え、「イースト」のメンバーに近付くジェーン。アジトへの潜入に成功する。
組織のリーダーはベンジー(アレクサンダー・スカルスガルド)。大胆不敵で行動力もあり、強烈なオーラを放っている。ベンジーのもと、家族のように団結する仲間たち。それぞれ過去に傷を抱え、反社会的思想を持つようになっていた。
彼らの話を聞くうち、サラに同情心が芽生える。ベンジーのカリスマ性にもひかれていく。任務と感情の間で揺れる心。一方でベンジーは、さらに大規模なテロ攻撃を計画していた──。
組織壊滅のため潜入した女性が、逆にテロリストに同情してしまう。いわば「ミイラ取りがミイラになる」物語だ。メンバー同士の猜疑心、秘密主義が伏線となり、散りばめられた謎が物語をけん引する。アジトの閉鎖的な空気、メンバーの陰鬱とした表情も、独特の雰囲気を作り出した。
主演のマーリングは製作、脚本も担当。監督のザル・バトマングリとは大学在学中に出会い、一緒に長編デビュー作「Sound of Voice」(原題、10)を発表し、米サンダンス映画祭で注目を集めた。「ザ・イースト」は2人の長編2作目。荒削りながら勢いを感じる作品だ。
「ザ・イースト」(2013年、米国)
監督:ザル・バトマングリ
出演:ブリット・マーリング、アレキサンダー・スカルスガルド、エレン・ペイジ、パトリシア・クラークソン、ジュリア・オーモンド
2014年1月31日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。