映画「ブルーに生まれついて」/ジャズ、音楽ファン必見の作品

ブルーに生まれついて 映画

(C)2015 BTB Blue Productions Ltd / BTBB Productions SPV Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

1950年代に一世を風靡(ふうび)した白人ジャズ・トランペッター、チェット・ベイカー。甘いルックス、美しい音色で多くのファンを魅了し、ジャズ史に残る名バラード「マイ・ファニー・バレンタイン」は今も代表曲として語り継がれる。

「ブルーに生まれついて」は、ベイカーが60年代後半から70年代、麻薬におぼれてさまよった「暗黒期」を中心に描く。昨年の東京国際映画祭コンペティション部門出品作。監督、脚本はロバート・バドロー、主演はイーサン・ホーク。

あごを砕かれ、前歯を全部失ってしまう

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冒頭は66年、イタリア。麻薬使用で投獄されたチェットは幻覚を見ている。場面は一転し、時はさかのぼって59年。画面はモノクロに変わり、米ジャズシーンで華々しく活躍するチェット。甘い声とルックスに女性ファンが熱狂する。そんな姿を冷ややかに見つめるのは、米ジャズ・トランペットの「帝王」マイルス・デイビス。アイドル気分のチェットに辛辣な評価を下す。

また時は戻って66年。米国に帰ったチェットは、自伝映画で俳優デビューする計画だった。しかし撮影の途中、麻薬の密売人に暴行を受け、あごを砕かれ、前歯を全部失ってしまう。献身的に支えたのは、女優で恋人のジェーン(カルメン・イジョゴ)だった。

再起をかけて練習に励むも、昔のような演奏はできず、待っていたのは日陰者の人生。ピザ屋のライブ、その他大勢扱いのスタジオ・ミュージシャン、ガソリンスタンドの店員。どん底の日が続く中、旧知のプロデューサーの助けで、再び表舞台に立つ機会が与えられる。

見どころはチェット演じるイーサン・ホークの演技に尽きる。立ち居振る舞いに違和感はない。演奏の音は吹き替えだが、歌はホークの声だ。チェットと異なる低い声質だが、雰囲気はうまくまねている。マイルス・デイビス、トランペット奏者ディジー・ガレスピーの存在感も際立つ。マイルスがフュージョンに傾倒した70年代をうまく表現し、黒サングラスに詰めえりスーツ姿。ジャズ・ファンはニヤリとするだろう。

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過去の栄光はモノクロ、苦難の現在はカラー。映像をうまく使い分け、人生の光と影を浮かび上がらせる。ジャズ、音楽ファン必見の作品に仕上がった。

「ブルーに生まれついて」(2015年、米・加・英)
監督:ロバート・バドロー
出演:イーサン・ホーク、カルメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー
2016年11月26日(土)、Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

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