人気シリーズ最新作「007 スペクター」。ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じて4作目、シリーズ通算24作目。監督は前作「007 スカイフォール」に続くサム・メンデス。共演でレイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリスらが続投し、ヒロインの"ボンド・ガール"をモニカ・ベルッチ、レア・セドゥが演じている。
今回ボンドが対峙するのは、世界的に暗躍する犯罪組織「スペクター」。シリーズ2作目「007 ロシアより愛をこめて」など初期作品に登場し、かつてボンドを追い詰めた宿敵だ。さらに、ボンドのトラウマでもある少年時代の記憶に触れる。シリーズ開始から半世紀を超え、原点回帰の印象が強い作品となった。
スーツ姿で、顔色一つ変えず任務にあたるボンド
冒頭、メキシコで撮られたアクション・シーンが圧巻だ。年に一度の祝祭「死者の日」でにぎわう町。通りはドクロの仮装をした人々があふれている。ボンドはビルの屋上から、向かいの窓越しのターゲットに銃口を向けていた。そこへ突然大爆発が起き、ボンドもビルの崩壊に巻き込まれる。
崩れ落ちるがれきをかいくぐり、敵との死闘はほこりまみれの広場へ。頭上から降りてきたヘリコプターにボンドは乗り込み、もみあいながら敵を外へ突き落とす。舞台はビルから地面へ、空へ。縦横無尽のアクションに目がくらむ。トレードマークのスーツ姿で、顔色一つ変えず任務にあたるボンド。クレイグのクールな魅力と相まって、思わず身を乗り出す迫力だ。
犯罪組織「スペクター」を追い、ボンドが向かう先は世界へ。メキシコからオーストリアの雪山、モロッコの砂漠、ローマの市街地。愛車の最新型「アストンマーチン」でのカーチェイス、小型飛行機と車の攻防、砂漠での大爆発。スピードも規模も文句なし。
メンデス監督の冷静で陰影ある演出も、冷たく青い"クレイグ・ボンド"にぴったり。ボンド・ガールのベルッチ、セドゥの歯切れの良さも加わり、作品全体のトーンに統一感が生まれた。安定した老舗の味に渋みが絶妙に配され、満足度が高い娯楽作だ。
「007 スペクター」(2015年、米国)
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ワルツ、レア・セドゥ、レイフ・ファインズ、モニカ・ベルッチ
2015年12月4日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。