1年に12時間だけ全犯罪が合法となる「パージ」が、人々を支配する──。近未来の米国を舞台にしたスリラー映画「パージ」(13)は、パージに巻き込まれた家族、反する推進派の壮絶な攻防戦を描いた。
続編「パージ アナーキー」は、人間狩りを目論む推進派が街を徘徊。息子の敵討ちを狙う男、貧しい母娘、車が故障した夫婦の3組が、追手を逃れて生き延びる様子を描く。前作同様製作はマイケル・ベイとジェイソン・ブラム、監督・脚本はジェームズ・デモナコ。キャストは一新された。
前作では小さな一軒家だった舞台が、街全体に拡大。暴徒化した複数のパージ推進派、軍隊並みの武器を持つ謎の集団、不気味なバイクの一群が現れ、人間狩りを繰り広げる。前作は無秩序な殺人が不気味さを醸し出した。今回は殺人に理由を持たせ、作品を方向付けている。見知らぬ3組が偶然出会い、助け合い、狂乱の街でサバイバルする。
今回もまた、病んだ米国社会が透けて見える。殺人を遊びとして楽しむ金持ちグループ。身を挺して娘と孫を守る老人。謎の武装集団の黒幕の正体。監督の皮肉な視線が鋭く突き刺さる。負の連鎖に人々は翻弄されていく。しかし、理由なき暴力と異様な緊張感を、終盤で断ち切る幕引きが絶妙な作品だ。
「パージ アナーキー」(2014年、米国)
監督:ジェームズ・デモナコ
出演:フランク・グリロ、カルメン・イジョゴ、ゾーイ・ソウル、ザック・ギルフォード、キエレ・サンチェス
2015年8月1日(土)、TOHO シネマズ日劇ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
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